プロジェクトを成功へ導くPoCの考え方!よくある失敗例も紹介します!

PoCの考え方

PoCとは、アイデアの実現可能性を検証することで、プロジェクトを成功へ導くために重要なプロセスです。実際に、プロジェクトを始動させる前にPoCを実施する企業も増えてきました。

しかし、「実施している企業が多いから」となんとなくPoCを実施しようとしていませんか?プロジェクトを成功へ導くためのPoCを実施するには、PoCの適切な考え方やよくある失敗パターンを知っておくことが大切です。

そこで本記事ではプロジェクト成功にPoCの実施が必要な理由をはじめ、PoCの考え方・よくある失敗パターン・成功させるコツなどを詳しく解説します。

目次

プロジェクト成功にPoCが必要な理由

PoCとは何か

PoCとは、アイデアの実現可能性を検証することで、日本語では「概念実証」と呼ばれます。具体的には、「技術的に実現可能か」「コスト的に実現可能か」「継続的な運用が可能か」などの要素を検証し、実現可能性を評価します。

どれだけ魅力的なアイデアであっても、実際にプロジェクトを始動させてみると、「技術的に実現不可能だった」「開発にコストがかかり過ぎる」といった問題が生じることは珍しくありません。

しかし、本格的なプロジェクト始動前にPoCで実際に手を動かすことで、机上では気づけなかった課題を事前に発見することが可能となります。

事前に発見した課題への対策を検討したり、アイデアにあつみを持たせたりするなど、本格的なプロジェクトをスムーズに進めることにつながります。

プロジェクト成功に向けたPoCの考え方

プロジェクトを成功へ導くために実施するPoCの考え方として、以下3つのポイントが挙げられます。

  • アイデアを机上論で終わらせない
  • 潜在ニーズを探索する
  • 早く安く検証する

それぞれの考え方について詳しくみていきましょう。

アイデアを机上論で終わらせない

PoCでは、プロトタイプやMVPといった実物を活用して検証を行います。つまり、アイデアを検証するにあたって、机上で討論を重ねるだけでなく、実際にユーザーに使ってもらったり試験的な導入を行ったりするアプローチを行うのがPoCです。

「アイデアが実現するのか」「どれくらいのコストがかかるのか」などについて、机上で討論することも重要ですが、机上では分からない課題や適切な方向性があります。また、机上で検討するより実際に手を動かしたほうが、早い段階で課題に気づくことができるかもしれません。

例えば、何か新しい料理を創作するとき、レシピを頭で考えるより、実際に作ってみて失敗を重ねたほうがリアルな課題に早く気づけるでしょう。

このように、PoCはアイデアを机上論で終わらせないための重要なプロセスです。PoCを実施するにあたって机上で計画を立てることは重要ですが、あくまでもPoCは検証を実施してこそ効果が得られるということを忘れてはなりません

潜在ニーズを探索する

PoCにおいて重要なのが、潜在ニーズの探索です。

PoCにおける顕在ニーズと潜在ニーズ

そもそも潜在ニーズとは、顧客自身が自覚しておらず、明確に言語化されていないニーズのことです。例えば、「痩せたい」と考えているユーザーには、「健康になりたい」「オシャレな洋服を着こなしたい」といった潜在ニーズが考えられます。

そして、新しいアイデアが市場へ受け入れられるかどうかは、当然ニーズの有無に大きく左右されます。新しいアイデアを形にする際、既存市場ではなく新しい市場を創出しなければならないケースもあるでしょう。

既存市場への参入は、ある程度ニーズがあると分かったうえで参入しますが、市場を新たに創出する場合、「そもそもニーズがあるのか」「ビジネスとして成立するだけのニーズはあるのか」などの見当がつきにくい傾向にあります。

そのため、PoCでは新たなアイデアが潜在ニーズに応えられるのか、創出される市場がビジネスとして成立するのかといった視点で検証することが大切です。

早く安く検証する

PoCの検証結果は、あくまでも本格的なプロジェクトを始動させるか中止するかを決める判断材料のひとつとなります。そのため、PoCは「早く」「安く」検証することが大切です。

PoCに時間がかかり過ぎると、目的や評価の軸がブレたり、関係者が持つ期待値にギャップが生じやすい傾向にあります。

例えば、「これだけ時間がかかっているからすごいことになる」というように予想以上に期待値が上がったり、「こんなに時間をかけたのに…」と悪い結果が出た際にうやむやにしたりするといった問題につながりかねません。

PoCの実施期間は、計画から検証結果の評価までを3か月以内で終わらせるのが目安です。もし3か月以上の期間がかかりそうな場合は、全体をいくつかのフェーズに分け、チェックポイントを設けるなどの対策を行いましょう。

PoC実施でよくある失敗パターン

PoCにコストをかけすぎる「PoC貧乏」やPoCの実施期間が長すぎる「PoC疲れ」という言葉があるほど、PoCに失敗する企業は多い傾向にあります。そこで、PoCを実施する際によくある失敗パターンを3つ紹介します。

とりあえず実施しただけ

とりあえず実施しただけのPoCは、評価したい項目や達成したい目標が曖昧で、どこがゴールなのかという基準が設けられていないよくある失敗パターンです。例えば、とりあえずデータを収集したり、とりあえず自社のリソースを可視化したりすることが挙げられます。

確かに、PoCではとりあえずやってみることは大切です。しかし、評価項目や評価基準が曖昧だと得たデータを適切に活用できません。PoCを実施しても具体的な評価ができずに、本格的なプロジェクトに役立てることが難しいでしょう。

そのため、PoCを実施する際は「PoCで何を検証・評価するのか」「どのような数値が出たとき成功とするのか」など、評価基準を明確にしておくことが大切です。

例えば、業務効率化を目的としてシステム導入を検討する際のPoCでは、「業務時間が○時間削減できるか」という評価基準を設けておくと、データを収集した際にスムーズな意思決定ができます。

評価項目が多すぎてPoCが終わらない

評価項目が多すぎて、PoCが終わらないケースがみられます。

とくにPoCの規模が大きくなると、それだけ作業や日程調整にかかる業務も肥大化します。PoC実施以外の業務にリソースが割かれることで、何のための検証だったかという評価の軸がぶれるといった問題にもつながりかねません。

また、評価項目が多すぎると、どのデータを見ればよいか分からず、次の検証やアクションにつながりにくい傾向もみられます。

他にも「プロジェクトメンバーとの意見が合わない」「メンバー内で認識のズレが生まれる」「PoCの準備に時間がかかりすぎる」などの問題につながる可能性もあるため、目的を具体的に決めること、評価項目ごとに優先順位を決めることが大切です。

以下の記事では、PoCをスムーズに進めるために必要なPoC計画書の作り方や必要な検証項目を紹介しています。ぜひあわせて読んでみてください!

トライアンドエラーが許されない

PoCは試験的なものであり、失敗もよくあることです。しかし、トライアンドエラーが許されず、失敗しにくい環境だと、悪い結果が出た際にフィードバックが共有されなかったり、丁寧に進めるばかりに時間がかかり過ぎたりする問題につながる可能性があります。

情報共有がうまくいっていないと、メンバー内でも期待値のギャップが生まれることにもつながりかねません。

そのため、トライアンドエラーが許される環境づくり、プロジェクトメンバーの協力体制、PoCの別のやり方がないかという検討などを行うことが大切です。

関係者の協力を得るには、プロジェクトの目的や内容を事前に理解してもらう必要があります。どのような結果であっても検証結果が出たらすぐに共有し、プロジェクトメンバー全体で今後の方向性について議論しましょう。

プロジェクトを成功へ導くPoCのコツ

プロジェクトを成功に導くPoCの考え方

プロジェクトを成功へ導くPoCのコツには以下の2点が挙げられます。

  • PoC実施の体制を整える
  • PoCの進捗状況を可視化する

それぞれのコツについて詳しくみていきましょう。

PoC実施の体制を整える

PoCを実施する際は、チーム編成が不可欠です。チームメンバーに偏りがあると、精度の高いデータが得られなかったり、見当違いな方向へ進んでしまったりする可能性があります。

例えば、経営層のみでシステム導入のPoCを実施した際に十分な効果が得られると本格的な導入に映ったものの、PoCの段階で現場の意見が考慮されていなかったために、実際にはシステムの活用が定着しなかったといった問題が挙げられます。

また、PoCで検証が終わったあとは、本格的にプロジェクトを始動させるかどうかという意思決定も必要です。

そのため、IT担当者・マーケター・デザイナー・経営層など、あらゆる部門のメンバーを集め、PoC実施体制を整えましょう

PoCの進捗状況を可視化する

PoCを実施する際は進捗状況を可視化し、今どのフェーズまで完了しているのかを把握しやすい環境を構築しておきましょう。

PoCに時間がかかりすぎると、結果以上に期待値が上がってしまったり目的や評価の軸がブレてしまったりする可能性があります。そのため、定期的に進捗状況を確認しながら、計画通りに進めることが大切です。

ただ、進捗状況が可視化されていなければ、計画に遅延が発生してもいち早く発見・対応することができず、プロジェクト始動や意思決定にも遅れが生じてしまいます。

そのため、PoCの計画をガントチャートに書き出すなど、視覚的に計画を把握できる環境を整えたうえで、定期的な進捗状況の確認が欠かせません。

まとめ

プロジェクトを成功へ導くには、PoCの実施が欠かせません。ただし、PoCをなんとなく実施しても本格的なプロジェクトに役立つデータが得られなかったり、本当に必要なデータの選別が難しかったりします。そのため、ぜひ今回紹介したPoCの考え方やコツ、よくある失敗パターンを参考に、プロジェクトを成功させる効果的なPoCを実施してください。

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