プラットフォーム戦略とは?5つの事例から学ぶ成功のコツ!

プラットフォーム戦略とは

世界的に有名な「Google」「Apple」「Facebook」「Amazon」は、利用者にとって魅力的なプラットフォームを提供する「プラットフォーム戦略」によって優位性を保ち、現在もなお成長し続けています。

大手IT企業がプラットフォーム戦略を実行していることから、「自社でもプラットフォーム戦略を」と検討する企業も多いのではないでしょうか。

しかし、そもそもプラットフォーム戦略がどういうものかを把握できていないことも多く、プラットフォーム戦略を成功へ導くにはいくつかのコツを押さえておくことが大切です。

そこで、今回はプラットフォーム戦略とは何か、注目される理由や成功事例、成功のコツまで詳しく解説します。

目次

プラットフォーム戦略とは

そもそもプラットフォームとは、第三者である企業や個人同士を結びつける「場」を指します。例えば、ECサイト「Amazon」は、商品を販売したい企業と商品を購入したい消費者を結びつける場(=プラットフォーム)のひとつです。

SNS・フリマアプリ・アプリケーションストアなどもプラットフォームサービスであり、このようなプラットフォームを提供する企業は「プラットフォーマー」と呼ばれます。

そして、プラットフォーム戦略は、プラットフォームを構築・提供することで利益を生み出す戦略を意味します。GoogleやAppleなどの大手IT企業が採用している戦略のひとつです。

プラットフォーム戦略にはいくつかの収益モデルがあるものの、プラットフォームの利用者が増えると、その分プラットフォーマーが得られる利益も拡大する点においては共通しています。

例えば、フリマアプリ「メルカリ」では、取引成立時に販売手数料として商品価格の10%をプラットフォーマーが受け取ります。そのため、プラットフォーム内で取引が多く行われるほど、プラットフォーマーが受け取る利益も拡大するということです。

このように、プラットフォームを構築・提供し、多くの利用者を獲得することで自社の利益を高める戦略のことを「プラットフォーム戦略」といいます。

プラットフォーム戦略が注目される理由

プラットフォーム戦略が注目される理由

プラットフォーム戦略が注目される主な理由には、以下の2つが挙げられます。

  • 低コストでの立ち上げが可能
  • データの収集・活用に役立つ

それぞれの理由について詳しくみていきましょう。

低コストでの立ち上げが可能

プラットフォームは低コストで立ち上げられる

ECサイトやフリマアプリのように、プラットフォームをインターネット上で提供する場合、土地や建物といった店舗を設置する必要がありません

また、ECサイトのように商品を取り扱うプラットフォームであっても、商品を管理するのはあくまでもプラットフォームを利用する企業です。そのため、在庫管理や製造に必要な拠点を構える必要もありません

さらに、プラットフォーム内で実際に取引される商品・サービスは第三者の企業や個人から提供されるため、プラットフォーマーは取引が行われる場を提供するのみで、新しい商品・サービスを開発することも不要です。

このように、プラットフォーム戦略は物理的な店舗を設置するコストや商品・サービスの開発コストが必要なく、低コストでの立ち上げが可能なため、とくに小規模ビジネスや新規事業の立ち上げを目指す企業から注目が集まっています。

データの収集・活用に役立つ

プラットフォームを利用する企業や個人が増えるほど、顧客データ・ノウハウ・アイデアなどの多くのデータが蓄積されていきます。

収集したデータをマーケティング戦略に活用すれば、プラットフォームの利用を促進させ、利益拡大にもつながります。

例えば、ECサイトの購入履歴や閲覧履歴のデータをもとに、各利用者に合わせたおすすめ商品をメルマガで配信すれば、利用者の購買活動を促すことが可能です。実際に「Amazon」でも、利用者の購入履歴をもとに属性や購入傾向の分析を行っています。

このように、プラットフォーム戦略では利用者のデータを収集できるうえ、収集したデータをさらなる事業発展に向けて活用することが可能です。

プラットフォーム戦略の成功事例5選

プラットフォーム戦略の成功事例を5つ紹介します。今後プラットフォーム戦略を検討する際には、ぜひ参考にしてください。

楽天市場|国内最大級のECサイト

プラットフォームの事例_楽天

出典:楽天グループ株式会社「楽天市場

楽天市場は国内最大級のECサイトで、プラットフォーム戦略を成功させた背景には「楽天経済圏」があります。

楽天経済圏とは、生活のあらゆるシーンで楽天グループのサービスを利用することです。例えば、普段の楽天市場でのショッピングに楽天カードを利用し、貯まったポイントを楽天トラベルのホテル予約にあてるといったことが挙げられます。

楽天グループでは他にも楽天ペイ・楽天モバイル・楽天銀行・楽天証券・楽天ひかりなど、多岐にわたるサービスを展開しています。

そして、楽天グループのサービスを併用すると、楽天市場でのショッピングする際にポイントが貯まりやすくなるという仕組みが最大の特徴です。

ユーザーは効率的にポイントを貯めようと楽天経済圏に集まるため、大々的な広告を打ち出さずとも、利用者が自然と集まってくるという仕組みを確立しました。

このように、楽天市場は関連サービスを併用するとお得に買い物できるという価値を提供することで、プラットフォームの利用者を増加させた成功事例です。

Uber Eats|店舗・注文者・配達者の3者をつなぐ

プラットフォームの事例_Ubereats

出典:UberJapan株式会社「ウーバーイーツ

Uber Eatsは、フードデリバリーのなかでも高い人気を誇るプラットフォームです。

ECサイトのようなプラットフォームの場合、商品を販売したい企業と商品を購入したい消費者の2者をつなぎますが、Uber Eatsでは店舗・注文者・配達者の3者をつなぐという特徴があります。

Uber Eatsがプラットフォーム戦略を成功させた背景には、優れたユーザビリティがありました。

例えば、フードを注文する際、スマホから注文したい店やメニューを選択し、電子決済を選択すれば現金の受け渡しも必要ありません。

また、注文後は調理状況・配達状況・配達員の情報をリアルタイムで確認できるうえ、受け渡し方法や場所について配達員と細かくやり取りすることも可能です。

このように、Uber Eatsは利用者の操作性に寄り添い、利用時の手間を最小限に抑えたことで、利用を拡大させました。

LINE|多種多様なサービス展開

プラットフォームの事例_LINE

出典:LINEヤフー株式会社「LINE

LINEは、幅広い年齢層で利用されており、国内だけでみると最もユーザー数の多いSNSです。サービス開始当初は無料通話アプリとしてスタートしましたが、今では音楽配信・求人・ECサイト・ゲーム・電子決済など、多種多様なサービスを展開しています。

このように、LINEは楽天市場と同様にさまざまな関連サービスを展開することで、多くの利用者が集まる巨大プラットフォームへと成長しました。

また、LINEスタンプは、企業だけでなく一般のクリエイターが制作・販売することも可能です。スタンプは比較的安価なため、制作・販売のハードルが低く、2021年4月時点では世界で390万人以上ものクリエイターが参加しています。

このように、LINEは多種多様なサービス展開にくわえ、一般のクリエイターも参加しやすいLINEスタンプ事業を手がけたことで、プラットフォームとしての成長を遂げました。

メルカリ|CtoCマッチングプラットフォームの代表例

プラットフォームの事例_mercari

出典:株式会社メルカリ「メルカリ

メルカリは、個人の出品者と個人の購入者をつなぐという、CtoCマッチングプラットフォームの代表的なサービス例です。不要になった物品や衣服を個人が任意の価格で出品でき、購入者とのやり取りや発送などもすべて利用者同士で行われます。

メルカリがプラットフォーム戦略を成功させた背景には、利用者の安心感や利便性を高める独自の機能を搭載したことが挙げられます。

例えば、「匿名配送機能」では名前や住所などの個人情報を利用者同士で共有することなく発送・受取が可能です。

また、商品の代金は出品者に直接わたるのではなく、一度プラットフォーマーが預かり、商品が到着し購入者の評価が入力されてやっと、プラットフォーマーから出品者へと入金されます。

そのため、「商品が届かず代金だけ支払った」「偽物が届いた」といった不安もなく、利用者は安心して取引を行えます。

このように、メルカリは利用者が持つ取引時の不安を除くための独自機能を搭載したことで、プラットフォーム戦略を成功させた事例のひとつです。

クラウドワークス|仕事のクライアントとワーカーをつなぐ

プラットフォームの事例_クラウドワークス

出典:株式会社クラウドワークス「クラウドワークス

クラウドワークスは仕事のクライアントとワーカーをつなぐ、国内最大級のクラウドソーシングサイトです。クラウドワークスがプラットフォーム戦略を成功させた背景には、明確なターゲットの絞り込みが挙げられます。

クラウドワークスでは、スキルを持ちながらも「子育て」「介護」「定年退職」などの理由からフルタイムで働けない人が、1日1時間といったスキマ時間でもスキルを活かせる場を提供しようと、ターゲットを個人ワーカーに絞ったプラットフォームを構築しました。

自分のスキルを活かせる仕事を探しやすくする「絞り込み検索」や、事前に経歴やスキルを登録しておくことでクライアントから依頼が届く「スカウト」などの独自機能も搭載されています。

また、仕事を受注する個人ワーカーと個人ワーカーに仕事を発注する企業の双方が安心して利用できるよう、一度プラットフォーマーに報酬が入金される「仮払いシステム」や「評価・口コミ」などの機能も採用しています。

このように、明確なターゲットの絞り込みを行ったうえで、利用時の不安や悩みを解消する機能を採用したことにより、プラットフォーム戦略を成功させました。

事例から学ぶ!プラットフォーム戦略を成功させるコツ

プラットフォーム戦略を成功させるコツ

成功事例から分かったプラットフォーム戦略を成功させるコツとして、以下の4つが挙げられます。

  • ターゲットや市場を見極める
  • フリクションを最小限にする
  • 独自の機能を搭載する
  • キャッシュポイントを明確化させる

それぞれのコツについて1つずつ詳しく解説します。

ターゲットや市場を見極める

プラットフォーム戦略を成功させるには、利用してもらいたいターゲットと参入する市場を見極めることが大切です。

例えば、「クラウドワークス」では、さまざまな事情によりフルタイムで働けない個人ワーカーにターゲットを絞ったプラットフォームを提供しています。

ターゲットを細かく絞り込むことで、「報酬が本当に支払われるかが不安」「仕事が見つからなかったらどうしよう」といったそのターゲットならではの悩みに気づき、その悩みを解消するための独自機能を搭載したために多くの利用者を獲得しました。

また、ECサイト系のプラットフォームは、すでに「Amazon」や「楽天市場」がECサイト市場の大部分を独占しています。そのため、未開拓や競合の少ない市場を見つけることが大切です。

実際に「ZOZOTOWN」はアパレルブランドに特化したプラットフォームで、「ZOZOSUIT」といった独自のサービスを合わせて展開することでシェアを拡大しました。

このように、プラットフォーム戦略を成功させるにはターゲットに合わせて最適な機能を搭載することや、自社ならではのニッチな市場に参入することで優位性を確立することが必要です。

フリクションを最小限にする

そもそもフリクションとは、ユーザーがプラットフォームを利用する際に感じる不安や手間のことで、直訳すると「障壁」を意味します。

例えば、フリマアプリを利用する際、個人ユーザー同士で名前や住所を共有しなければならないとなると、セキュリティ面に不安を感じたユーザーは利用を避けるかもしれません。

「メルカリ」ではこのようなユーザーの不安(=フリクション)を取り除くために、「匿名配送機能」を搭載しました。

また、ECサイトの閲覧に会員情報や支払情報の登録が必須となっている場合、一部のユーザーは「ちょっと商品を見てみたいだけなのに手間がかかる…」と、商品閲覧前にサイトを離れてしまうリスクもあります。

このように、プラットフォームではユーザーのフリクションを最小限にすることが大切です。何がユーザーのフリクションとなっているかを分析し、その対策までを事前に検討しましょう。

独自の機能を搭載する

さまざまな業界で多くのプラットフォームが提供されている現在、既存のサービスと似たり寄ったりのプラットフォームでは利用者の獲得は困難です。そのため、自社のプラットフォームならではの機能を搭載しましょう。

「楽天市場」では関連サービスを併用することでポイント還元率が高まる仕組み、「メルカリ」では匿名配送機能、「クラウドワークス」では仮払いシステムなど、成功しているプラットフォーム戦略の多くで独自の機能・仕組みが採用されています。

そして、多くの利用者を獲得できれば、その分取引件数が増えるため、「あのプラットフォームなら欲しい商品が見つかるかも」というように、自然と利用者数の拡大につながります。

ただし、独自の機能を搭載するといっても、競合が多ければどのような機能がよいのか分からないこともあるでしょう。

このような場合は、競合プラットフォームに寄せられている不満や改善を求める声、自社の強み・弱みなどを分析し、どのような面で差別化を図れるかを洗い出すとこからはじめることがおすすめです。

キャッシュポイントを明確化させる

プラットフォームによって、利益を生み出す「キャッシュポイント」はさまざまです。

例えば、ECサイト系のプラットフォームでは商品を販売する企業から「プラットフォーム利用料」を受け取り、フリマアプリ系のプラットフォームでは出品者から商品価格に応じて「販売手数料」を受け取るというシステムが一般的です。

プラットフォームの利用者を増やしたいからといって大部分を無料で提供してしまうと、利用者数の拡大は実現しても、収益性が低く運営を継続できなくなるリスクもあります。

また、収益性を高めようと途中から急にキャッシュポイントを増やしても、これまで無料で使ってきたユーザーが離れていく可能性も考えられます。

そのため、プラットフォームのキャッシュポイントをあらかじめ明確化させておくことが大切です。途中からキャッシュポイントを増やす場合は、利用者の負担が大幅に増えないよう、少しずつ増やしていきましょう。

プラットフォーム戦略の実行にはノーコードツールが最適

プラットフォーム戦略を実行するにあたっては、当然ですがプラットフォームの構築が必要です。プラットフォームはスクラッチ開発・パッケージ開発・ノーコード開発など、さまざまな開発手法があるため、自社に合った方法を見極めなければなりません。

なかでもプラットフォームの構築におすすめの開発手法が「ノーコード開発です。

ノーコード開発とは、提供されているノーコードツールを利用して開発を進める方法で、開発に際してプログラミング言語をはじめとする専門知識が必要ありません。また、スクラッチ開発やパッケージ開発に比べて、コストや開発期間を削減・短縮できる点も魅力です。

そのため、本格的なプラットフォーム開発にはもちろん、スクラッチ開発を前提としたPoCやMVP開発時にも役立ちます

ただし、ノーコード開発ではカスタマイズできる範囲が限定的なため、複雑なシステムや大規模なプラットフォームの構築には向いていません。自社が理想とするプラットフォームに合わせて最適な開発手法を選定しましょう。

まとめ

Amazon・楽天市場といったECサイト、LINE・InstagramといったSNS、フリマアプリのメルカリなど、プラットフォーム戦略で成功しているサービスは、私たちの身近に溢れています。

また、プラットフォーム戦略は低コストでの立ち上げが可能なうえ、データの収集・活用にも役立つため、注目が高まっています。

すでに市場内で優位性を確立しているプラットフォームも多いため、参入時には自社ならではの機能や仕組みを採用するといった工夫が大切です。

今回紹介した事例や成功させるコツを参考に、効果的なプラットフォーム戦略を検討してください。

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