「コロナの影響で既存事業がうまくいかなくなった」「これまでの業務形態を見直したい」「受託事業から脱却し自社事業を始めたい」などを背景に、新規事業の立ち上げを検討している企業は多いのではないでしょうか。
しかし、新規事業を立ち上げるといっても、事業内容によっては莫大な資金やノウハウが必要となります。そこで注目を集めているのが、プラットフォームビジネスです。
プラットフォームビジネスは少ない資本で参入でき、ユーザーが集うプラットフォームを提供するのみでビジネスを始められるため、プラットフォームのアイデアさえあれば、具体的な商品やサービスを開発する必要もありません。
本記事では、そんなプラットフォームビジネスについて、基礎知識から具体的な立ち上げの流れまで詳しく解説します。
【基礎知識】プラットフォームビジネスを立ち上げるにあたって
プラットフォームビジネスを立ち上げるにあたって、基礎知識について1つずつみていきましょう。
そもそもプラットフォームビジネスとは
そもそもプラットフォームビジネスとは、商品・サービスの「提供者」と「利用者」をつなぐプラットフォームを提供するビジネスです。自社の「商品・サービス」を提供するわけではなく、あくまでも提供者と利用者をつなぐための「場」を提供します。
つまり、プラットフォームビジネスの事業者は自社商品・サービスを持たないため、商品・サービスを提供してくれる提供者とその利用者がいてはじめて、プラットフォームとしての価値が生まれます。
プラットフォームの種類
プラットフォームといっても、さまざまな種類が存在します。主なプラットフォームの種類を以下の表にまとめました。
世の中には多くのプラットフォームビジネスが存在しますが、大きく分けると「仲介型」「OS型」「コンテンツ型」「ソリューション型」の4つに分類できます。まずは自社でやろうとしているプラットフォームビジネスがどこに当てはまるのか、知っておくと良いでしょう。
具体的なプラットフォームサービス一覧
「仲介型」「OS型」「コンテンツ型」「ソリューション型」の種類別で、具体的なプラットフォームサービスを一覧で紹介します。すでに利用している身近なサービスもあるのではないでしょうか。
プラットフォームビジネスの収益モデル
プラットフォームビジネスの収益モデルは1つではありません。主な収益モデル4種類を、概要と合わせて表にまとめました。
プラットフォームを運営する場合、収益モデルも考える必要があります。大きく4つ「手数料モデル」「サブスクリプションモデル」「広告モデル」「フリーミアムモデル」が挙げられます。
事業内容やユーザー数によって最適な収益モデルは異なりますので、自社事業を考える際はどのモデルで売上を上げるのか考える必要があります。
プラットフォームビジネスのメリット・強み
プラットフォームビジネスのメリット・強みとしては、以下の3つが挙げられます。
- 少ない資本で参入できる
- ネットワーク効果が期待できる
- ビッグデータを得やすい
プラットフォームビジネスでは、提供者と利用者をつなぐ「場」を提供するため、自社商品・サービスを一から開発する必要がありません。そのため、立ち上げに必要な資本は比較的少なく、参入ハードルが低いというメリットがあります。
また、プラットフォームはユーザーが一定数を超えると、ネットワーク効果により新たなユーザーを獲得しやすくなる点もメリットです。
プラットフォームを利用するユーザーが増えれば、それだけ多くのデータも得られるため、獲得したビッグデータをもとに高度な商品・サービス・技術などの開発を行えるというメリットもあります。
プラットフォームビジネスのデメリット・リスク
プラットフォームビジネスのデメリット・リスクとしては、以下の2つが挙げられます。
- ユーザー同士のトラブルが起こる可能性がある
- 法律や規制の違反となる可能性がある
プラットフォーム上では提供者と利用者がさまざまな取引を行うため、ユーザー同士でトラブルが起こるかもしれません。例えば、フリマアプリでは「購入した商品と異なる商品が届いた」といったトラブルが挙げられます。
そのため、プラットフォーム上でのユーザー同士のトラブルにどのように対処するかまでを事前に検討しておくことが必要です。
また、プラットフォームビジネスは「特商法」「古物営業法」「独占禁止法」などの法律・規制に則って行わなければなりません。例えば、特定の市場を独占するために、競合他社と不正取引を行った場合、独占禁止法に違反するリスクがあります。
このように、プラットフォームビジネスでは法律・規制への配慮も忘れてはなりません。
【4TEP】プラットフォームビジネス立ち上げの流れと始め方
プラットフォームビジネス立ち上げの流れ・始め方を4STEPで紹介します。
STEP1|実現可能性を検証する
プラットフォームビジネスに限らず、新規事業を立ち上げる際は、理想とするビジネスモデルが実現可能かどうかを事前に検証することが大切です。
新規事業の立ち上げには時間とコストがかかるため、実現可能性を検証しないまま進めてしまうと、最終的に実現できず時間とコストが無駄になってしまうというリスクが潜んでいます。
無駄になってしまう時間とコストを最小限に抑えるためにも、本格的な立ち上げ前に実現可能性を検証しなければなりません。
例えば、理想のプラットフォームがあっても、そのプラットフォームを利用するユーザーがどのくらいいるのか、どのようなユーザーニーズを満たせるのかなどを洗い出す必要があります。
「実現はするけど利益が見込めない」となれば、実現可能であってもビジネスとして成功する可能性は低いでしょう。そのため、仮説を立てたうえで実現可能性を検証し、ビジネスとして成功できるかまでを見極めることが大切です。
STEP2|事業計画書を作成する
実現可能性の検証結果をもとに、実際に参入する市場・ターゲット・事業コンセプト・人員計画・販売計画・資金調達計画などを含む「事業計画書」を作成しましょう。
プラットフォームにおけるユーザー同士のトラブルや、法律・規制違反などのリスクに備えたルール策定もこの段階で検討します。ルールを策定しないままプラットフォームの提供をはじめてしまうと、プラットフォーム内の秩序が乱れる可能性があるためです。
したがって、事業計画書と合わせてプラットフォームを適切に運用するためのルール策定も行いましょう。
STEP3|資金を調達する
比較的少ない資本で参入できるプラットフォームビジネスですが、構築するプラットフォームの種類や搭載する機能などによって、かかるコストは変動します。
そのため、自社が立ち上げるプラットフォームにはどの程度の資金が必要かを検討したうえで、計画的に資金を調達しなければなりません。
資金調達の具体的な方法としては、以下の内容が挙げられます。
- 銀行から融資を受ける
- ビジネスローンを組む
- 流動資産担保融資を受ける
- 補助金や助成金を活用する
- クラウドファンディングを行う
もちろん、自己資金で十分に資金は足りるという場合はこの工程は飛ばしていただいて構いません。ただし、プラットフォームビジネスは構築には大きなコストはかからないものの、成長させる過程の広告費等の初期費用で想定していた費用以上にかかる…というケースも多く存在するので注意が必要です。
STEP4|プラットフォームを構築する
どのようなプラットフォームを構築するかが決まり、必要な資金も調達できたら、実際にプラットフォームを構築していきます。プラットフォームを構築する主な方法は、自社で構築する方法と専門業者へ依頼する方法の2つです。
自社で構築する場合、スモールスタートを意識しましょう。はじめから多くの機能を搭載しても、実際に運用し始めたとき、思っていたよりユーザーの利用が進まないケースは少なくありません。
そのため、最小限の機能を搭載したMVPの開発を行い、ユーザーの反応をみながら徐々に機能を増やしていくことがおすすめです。
また、MVP開発は需要の変化や競合の登場といった面から、スピード感が求められます。そこで効果的なのが、ノーコードツールの活用です。専門知識不要かつ低コストで導入できるため、社内にIT人材が確保できない場合でもMVP開発を行えます。
プラットフォームの構築を専門業者へ依頼する場合は、実績が豊富で、自社が理想とするプラットフォームを実現してくれそうな事業者を見極めることが大切です。
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プラットフォームビジネスを成功へ導くコツ3選
プラットフォームビジネスを成功へ導くコツを3つ紹介します。
新しい価値やニーズを創出する
近年、プラットフォームビジネスは少ない資本で参入できる新規事業として、参入する企業が増えています。既存のものと同じようなプラットフォームを構築しても、すでに優位性を確立しているプラットフォームには追いつけないでしょう。
そのため、既存のプラットフォームにはない新しい価値やニーズを創出することがビジネスを成功させるためのポイントです。
ただし、「まったく新しい」プラットフォームを構築しなければならないかというと、そうではありません。
既存のプラットフォームに対して、不満やストレスを抱えているユーザーは必ずいます。そのため、ユーザー目線に立って、どのようなプラットフォームや機能があると利便性が高まるかを見極め、自社ならではのプラットフォームを構築しましょう。
フリクションを減らす
フリクションとは、サービスの利用を妨げる障壁のことです。具体的なフリクションとしては、会員登録や支払方法の登録などが挙げられます。例えば、会員登録の工数が多すぎると、ユーザーは登録を諦め、サービスを利用するまでに至りません。
プラットフォームビジネスでは、プラットフォーム内でのユーザーの活動が活性化しないことには利益が生まれないというのが基本です。つまり、大前提としてまずはユーザーに利用してもらうことを目指さなければなりません。
そのため、利用ハードルを下げて「ユーザーに利用してもらうこと」を第一の目標に、フリクションを最小限に留めるような仕組みを作りましょう。
ユーザーが自然と増える仕組みを作る
既存ユーザーの不満やストレスを放っておくと、新たなユーザーを獲得できても、それ以上に既存ユーザーが離れていく可能性があります。こうなると、全体のユーザー数の増加率は低減してしまうでしょう。
プラットフォームビジネスでは、利用するユーザーが増えてくると、ネットワーク効果によって新たなユーザーを獲得しやすくなります。そのため、一度獲得したユーザーと信頼関係を構築し、継続的に利用してもらうことが大切です。
立ち上げ当初は幅広いターゲットというより、一部のターゲットに絞り込んだうえでユーザーを獲得し、ユーザー離れ対策を行いながらネットワーク効果で新たなユーザーも獲得するといった仕組みを作っていきましょう。
まとめ
プラットフォームビジネスは、少ない資本で参入できるとして注目が高まっているビジネスモデルのひとつです。プラットフォームビジネスが成功すれば、少ない資本で多くの利益を生み出し、企業の認知度向上といったメリットにもつながります。
ただし、近年でプラットフォームビジネスに参入する企業は増えており、すでに多くの成功事例が挙げられます。そのため、競合他社にはない機能を持ったプラットフォームや、新しい価値を提供するプラットフォームを構築することが大切です。
「立ち上げ途中で挫折する」といった事態に陥らぬよう、仮説の検証や計画書の作成を行い、自社ならではのプラットフォームを展開していきましょう。