近年、マッチングプラットフォームやスキルシェアプラットフォームなどのプラットフォーム市場が拡大していることから、「プラットフォームを開発したい」「プラットフォームビジネスに参入したい」と検討する企業も多いのではないでしょうか。
しかし、プラットフォームを構築するといっても、事前に社内体制を整える必要があったり、開発手法にもいくつか種類があったりするなど、プラットフォーム構築の進め方が分からないと悩む方も少なくありません。
本記事では、プラットフォームビジネスを構築するにあたっての事前準備や開発手法、具体的な開発の進め方まで詳しく解説します。
【準備】プラットフォームビジネスを構築するにあたって
プラットフォームビジネスを構築するにあたって、社内体制の整備は欠かせません。開発手法によって異なりますが、開発にプログラミングをはじめとする専門知識が必要な場合、社内にIT人材の確保が必要不可欠です。
IT人材だけでなく、どのようなプラットフォームを構築するのかを決定する企画担当者や具体的なデザインを決めるデザイナーなど、「各部門の担当者を誰にするのか」という人材配置も事前に行っておきましょう。
また、人材の確保・配置だけでなく、開発に必要なパソコン・インターネット環境・テスト用端末・仕様書などの準備も必要です。
とくに、テスト用端末は実際に構築するプラットフォームをユーザーがどのようなデバイスで利用するかを想定したうえで準備しなければ、実際とは異なる端末でテストを行っても意味がありません。
このように、プラットフォームビジネスを構築する際には、事前に人材の確保・配置、ハードウェアなどの準備を行っておきましょう。
プラットフォームの主な開発手法3選
プラットフォームの主な開発手法を3つ紹介します。
スクラッチ開発｜ゼロから構築する
スクラッチ開発は、プログラミングなどの専門知識を使って、ゼロからプラットフォームを構築する開発手法です。
プラットフォームのベースから搭載する機能まで、すべてコードを記述しながら構築するため、カスタマイズ性・柔軟性に最も優れています。独自の機能や複雑なシステムの搭載にも対応でき、理想のプラットフォームを実現できる点が特徴です。
しかし、他の開発手法に比べると必要となる専門知識やスキルが多く、難易度は高い傾向にあります。そのため、社内でスクラッチ開発を行う場合は、IT人材の確保が欠かせません。もし社内にIT人材を確保できない場合は、専門業者に外注するケースも多くみられます。
パッケージ開発｜ベースにパッケージを活用する
パッケージ開発は、プラットフォームのベースに既存のパッケージを活用する開発手法です。すでに開発されたパッケージを活用するため、スクラッチ開発に比べて低コスト・短期間での開発が実現します。
「自社ならではカスタマイズをしたい反面、効率的に開発を進めたい」といった企業におすすめの開発手法です。
しかし、パッケージを利用する場合、カスタマイズできる範囲が限定されたり、カスタマイズするには専門知識やスキルが必要となるケースも少なくありません。
そのため、社内にIT人材を確保できない場合は、カスタマイズする方法が分からず、かえって開発の効率を低下させてしまう可能性があります。
ノーコード開発｜専門知識不要・低コスト・短期間で構築する
ノーコード開発は、専門知識不要・低コスト・短期間でプラットフォームを構築できる開発手法です。スピーディーな開発が実現するため、起業したての企業や創業期のプラットフォーム構築にも向いています。
また、ノーコードツールは基本的にドラッグ&ドロップといった直感的な操作で開発を進められるため、IT人材を確保できない企業でも既存の人材を活用できる点もメリットです。
ただし、活用するノーコードツールの種類によって搭載できる機能が異なるため、必ず自社が構築したいプラットフォームに合わせてツールを選定しなければなりません。
自社が構築したいプラットフォームに必要な機能が搭載できないといった事態に陥らぬよう、事前の確認が大切です。
ノーコードはPoCやMVP開発にも最適
ノーコード開発は、もちろん本格的なプラットフォーム構築にも活用できますが、本格的な開発をする前のPoCやMVP開発にも最適です。
例えば、スクラッチ開発はオリジナリティのあるプラットフォームを構築できる反面、構築に膨大なコストと期間が必要となります。
しかし、スクラッチ開発を行っても必ず成功するとは限らず、思ったようにユーザーを獲得できないことや運用後に不要な機能が見つかることもあるでしょう。こうなってしまうと、開発にかけたコストや期間が無駄になってしまう可能性があります。
そのため、本格的な開発をスクラッチ開発で行う場合でも、事前に実現可能性を検証するPoCや最小限の機能を搭載したMVPで、テストを行うことが大切です。
ただし、PoCやMVP開発は、市場ニーズの変化や競合の参入といった面から、スピード感が求められます。そのため、低コスト・短期間での開発が可能なノーコードの活用がおすすめです。
ノーコードを活用してスピーディーにPoC・MVP開発を行ったうえで、課題点の発見や改善を検討し本格的な開発に進めば、より効果的なプラットフォーム構築にもつながるでしょう。
【ノーコード開発】プラットフォームを構築する流れ・進め方
ノーコード開発でプラットフォームを構築する際の流れ・進め方を紹介します。
1．構築するプラットフォームを具体的にイメージする
まずは、「どのようなユーザーを対象とするのか」「どのデバイスで利用してもらうか」「どのように収益化を図るか」など、構築したいプラットフォームを具体的にイメージしましょう。
プラットフォームといってもBtoB向け・BtoC向け・CtoC向けなどさまざまあり、プラットフォームの種類によって搭載すべき機能や収益化の方法も異なります。
構築したいプラットフォームが明確になっていなければ、必要な機能の洗い出しやユーザーニーズの調査も円滑に進みません。そのため、第一に「ターゲット」「想定されるデバイス」「プラットフォームの種類」「収益化の方法」などを具体化させましょう。
2．搭載する機能を洗い出す
構築したいプラットフォームが具体的にイメージできたら、どのような機能が必要となるかを洗い出していきましょう。プラットフォームビジネスで一般的に必要とされる機能には以下が挙げられます。
- 会員登録機能
- ログイン機能
- マイページ機能
- 検索機能
- 応募・購入機能
- 運営者の管理機能
上記で挙げた機能は一例であり、構築したいプラットフォームによって必要とされる機能は他にもあります。例えば、ECサイト系のプラットフォームを構築するのであれば、上記の機能以外にもカート機能・購入履歴機能・決済機能などが必要でしょう。
このように、搭載する機能は、構築したいプラットフォームのイメージやターゲットの利便性などを考慮しながら洗い出すことが大切です。
3．機能を組み合わせながら開発する
ノーコード開発では、既存の機能パーツが提供されているため、搭載する機能として洗い出した内容に合わせて、ドラッグ&ドロップといった操作で組み合わせていきましょう。
このとき注意したいのが、不要な機能まで追加してしまうことです。簡単な操作で機能を追加できるうえ、機能は豊富なほうがよいというイメージから、事前に洗い出した内容とは異なる機能もついつい追加してしまうことがあります。
しかし、ユーザーにとって必要のない機能がいくつもあると、本当に使いたい機能を見つけにくくなったり、不要な機能を追加したために開発コストが高くなったりするかもしれません。
機能はプラットフォームを公開後に、都度追加することも可能です。はじめはスモールスタートを心がけ、無駄なコストをかけないようにしましょう。
4．テストを実施する
機能パーツを組み合わせ、ある程度の開発が終わったら、本格的な公開・運営の前にテストを実施しましょう。開発段階では問題ない場合でも、実際に動かすとエラーやバグ、想定外の出来事が発生する可能性があります。
事前に対策できるトラブルはテスト段階で改善しておき、本格的な公開・運営がスムーズに進むようにしましょう。
5．公開・運営する
プラットフォームの構築からテストの実施までが終われば、本格的な公開・運営へと移ります。
公開後は、トラブルが発生していないかを確認しながら、トラブルがあれば早めに対処しましょう。トラブルに対する早期対応は、ユーザー離れを防ぎ、信頼やリピーターの獲得にもつながります。
また、トラブルへの対処だけでなく、「収益化がうまくいっているか」「利益は出ているか」も公開後に検証すべきポイントです。収益化がうまくいっていない場合は、集客もしくは収益化の方法に原因が潜んでいるかもしれません。
このように、公開後はトラブルの確認・対処だけでなく、ビジネスとして成功させるための戦略が必要となります。
まとめ
近年で需要が高まっているプラットフォームサービスですが、プラットフォームの種類や開発手法はさまざまです。そのため、事前に構築したいプラットフォームを明確にしたうえで、機能の洗い出しやテストの実施などを計画的に進めていかなければなりません。
また、プラットフォームビジネスへ参入する際は、構築するプラットフォームだけでなく、新規事業へ参入するための社内体制の整備も重要です。自社に合った開発手法を見極め、理想のプラットフォームを構築しましょう。
