マッチングプラットフォームやスキルシェアプラットフォームなど、プラットフォームビジネスに参入する企業が増え、その市場規模も拡大しつつあります。そして、効率的にプラットフォームを構築できるとして注目されているのがアプリ開発ツールです。
これまでスクラッチ開発やパッケージ開発が主な開発手法でしたが、IT人材が不足している現在、高いスキルや専門知識を必要としないローコード・ノーコードツールを活用してプラットフォームを構築するケースも増えてきました。
そこで、本記事ではプラットフォーム構築時におすすめのアプリ開発ツール5選と選び方や注意点まで詳しく解説します。
プラットフォーム構築にアプリ開発ツールが最適な理由
そもそもアプリ開発ツールとは、プラットフォームをはじめとするアプリを、効率的に開発するためのツールを指します。主な機能としては以下の内容が挙げられます。
- テンプレート機能
- コンポーネント機能
- データベース機能
- レスポンシブデザイン・モバイル対応
- 連携機能
コンポーネント機能は、主にローコード・ノーコードツールなどで利用でき、プラットフォームに搭載したい機能パーツをドラッグ&ドロップといった直感的な操作で追加・削除できる機能です。
上記のような便利機能が豊富に搭載されたアプリ開発ツールを活用すると、スクラッチ開発のようにゼロから開発を行う必要がないため、効率的にプラットフォームを構築できます。
開発コスト削減や開発期間短縮などにつながることから、プラットフォーム構築時にはアプリ開発ツールの活用が最適です。
プラットフォーム構築時のおすすめアプリ開発ツール5選
近年のアプリ開発ツールでとくに注目が高まっているのが、ローコード・ノーコードツールです。ローコードは必要最小限のコードを記述しながら開発を行い、ノーコードはコードの記述が一切必要ありません。
このように、ローコード・ノーコードツールは開発に際して必要な専門知識がほとんどまたは一切ないため、既存の人材を活用できるとしてプラットフォームの構築に活用する企業が増えています。
そこで、今回はプラットフォーム構築時におすすめのアプリ開発ツールを、ローコード・ノーコードツールに絞って紹介します。
ローコードツール|OutSystems
出典:OutSystems「OutSystems」
OutSystemsは、顧客向けのアプリ開発をはじめ、社内向けのアプリやコアシステムの開発にも対応するローコードツールです。60万人以上のユーザーがOutSystemsを活用して開発を行った実績があります。
基本的にはドラッグ&ドロップといった直感的な操作で開発を進めることができ、任意のプログラミング言語でコードを記述すれば、プラットフォームをカスタマイズすることも可能です。
無料プランも提供されているため、事前に操作感や搭載されている機能を確認してから本格導入に移れるという魅力もあります。
ノーコードツール|Bubble
出典:Bubble Group, Inc.「Bubble」
Bubbleは、高度な機能が豊富に搭載されており、汎用性の高さが特徴のノーコードツールです。ノーコードツールとして認知度が高く、これまでにもマッチングアプリや検索アプリなど、多くのアプリが開発された実績を持ちます。
プラットフォームを構築するのに必要な機能が充実しており、APIと連携しプラグインを活用すれば、さらに便利な機能を実装することも可能です。すべての機能はドラッグ&ドロップといった直感的な操作のみで利用できます。
ノーコードツール|Adalo
出典:Adalo, Inc.「Adalo」
Adaloは、開発ハードルの高いネイティブアプリの開発にも対応するノーコードツールです。マッチングアプリをはじめ、データベースの構築やユーザー認証システムなどの制作にも対応できます。
提供されているテンプレートも豊富なため、デザインを簡単にカスタマイズすることも可能です。Adaloで制作したアプリは、App StoreやGoogle Playなどの各種アプリストアで公開できます。
ノーコードツール|Glide
出典:Glide「Glide」
Glideは、ExcelやGoogleスプレッドシートなどのデータをもとにアプリ開発を行えるノーコードツールです。普段からExcelやGoogleスプレッドシートを利用している人にとっては操作が簡単で、マッチングアプリといったプラットフォームの構築にも向いています。
ExcelやGoogleスプレッドシートのデータを変更すると、変更した内容がアプリにも自動で反映されるため、アプリの更新や管理にほとんど手間がかからない点も魅力です。テンプレートも豊富に提供されているため、理想のデザインが見つかるでしょう。
ノーコードツール|Shopify
出典:Shopify Japan 株式会社「Shopify」
Shopifyは、ECサイトの開設・運営ができるノーコードツールです。ECサイト向けの機能が充実しており、デザイン性の高いECサイトを構築できるとして、これまで数百万人以上のユーザーに利用されています。
Shopifyでは、ECサイトの制作方法や更新方法などを説明する動画が提供されており、日本語でのサポート対応もあるため、開発・操作に不安がある方でも安心です。
プラットフォーム構築に最適なアプリ開発ツールの選び方
プラットフォーム構築に最適なアプリ開発ツールの選び方を紹介します。
必要な機能が搭載されているか
アプリ開発ツールは、制作できるプラットフォームに得意不得意があったり、組み合わせられる機能が異なったりするため、自社が構築したいプラットフォームに必要な機能が搭載されているかを確認しましょう。
例えば、ECサイトを構築したい場合、お気に入り機能・カート機能・決済機能などが必要です。しかし、マッチングアプリの制作を得意とするアプリ開発ツールの場合、ECサイト向けの機能が搭載されていない可能性があります。
そのため、自社が構築したいプラットフォームの種類を得意とするアプリ開発ツールを見極め、必要となる機能が搭載されているかを確認することが大切です。
ベンダーのサポートが充実しているか
アプリ開発ツールを利用する際に、不具合やエラーといったトラブルが起こったり、どのように設定すれば最適かが分からなかったりすることもあるでしょう。そのため、ベンダーのサポートが充実しているかも重要なポイントです。
具体的なサポート内容としては、アプリ開発ツール導入時の伴走サポートや24時間受付可能な問い合わせチャットなどが挙げられます。
ベンダーのサポートが充実していると、より効果的な活用ができるなど、構築するプラットフォームのクオリティを高めることにもつながります。
担当者のスキル・レベルに合っているか
アプリ開発ツールは、ツールの種類によって操作感が異なるうえ、利用するにあたって必要な知識やスキル量も変わってきます。そのため、導入するアプリ開発ツールと実際に利用する担当者のスキル・レベルが合っているかを確認しましょう。
例えば、ノーコードツールであれば一切コードを記述する必要がないため、専門知識がない人材でも開発が可能です。しかし、ローコードツールを利用する場合は、一部コードを記述しながら開発を進めなければなりません。
もし、社内にIT人材を確保できていないにもかかわらずローコードツールを導入してしまうと、コードを記述できる人材がおらず、納得のいく開発を行えない可能性があります。そのため、担当者のスキル・レベルに適したアプリ開発ツールを見極めることが大切です。
プラットフォーム構築にアプリ開発ツールを活用する際の注意点
プラットフォーム構築にアプリ開発ツールを活用する際の注意点を2つ紹介します。
カスタマイズできる範囲が限定される
アプリ開発ツールを活用してプラットフォームを構築する場合、ゼロから構築するスクラッチ開発に比べるとカスタマイズできる範囲が限定されてしまいます。
ローコードやノーコードといったアプリ開発ツールは、直感的な操作で開発を進められるよう、搭載できる機能パーツが用意されているというのが一般的です。
用意された機能パーツをドラッグ&ドロップで追加することで、理想のプラットフォームを構築するわけですが、反対に欲しい機能パーツが用意されていなければ、その機能を搭載することができません。
そのため、独自の機能や複雑なシステムを搭載したい場合には、アプリ開発ツールで対応できないケースもあります。どうしても独自の機能を搭載させたいといった場合は、追加でスクラッチ開発が必要となるでしょう。
ランニングコストがかかる
一般的にアプリ開発ツールでプラットフォームを構築した場合、構築後もプラットフォームを運用するに際して月額利用料が発生します。そのため、プラットフォーム構築時だけでなく、月々のランニングコストも予算に含めておかなければなりません。
また、運用していくうちに必要な機能が増えたり、プラットフォームのユーザー数が増え規模が拡大したりすると、その変化に応じてかかるランニングコストが増えることも考えられます。
そのため、搭載する機能やプラットフォームの規模に応じて、最適なプランを見極めることが大切です。
まとめ
近年で需要が高まっているマッチングプラットフォームやスキルシェアプラットフォームといったプラットフォームの構築には、アプリ開発ツールの活用がおすすめです。
アプリ開発ツールを活用することで、必要な専門知識が少なく済み、低コストかつ短期間での開発が可能となります。
ただし、アプリ開発ツールは種類によって得意不得意や搭載できる機能などが異なります。そのため、自社が構築したいプラットフォームを明確にしたうえで、最適なアプリ開発ツールを選定しましょう。