マッチングサイトは、「提供者」と「利用者」をマッチングさせることで収益を生み出すビジネスモデルです。
賃貸物件を検索できる「SUUMO」や、個人同士で不用品を売買できる「メルカリ」などもマッチングサイトの一種で、私たちの身近では多くのマッチングサイトが提供されています。
マッチングサイトの需要が高まっていることから、新たにマッチングサイトを構築しようと検討している方も多いのではないでしょうか。
しかし、「どんなサービスにすればよいか分からない」「マッチングサイト構築時の参考に成功事例を知りたい」といった悩みを抱えている方は少なくありません。
そこで、本記事ではマッチングサイトの成功事例にくわえ、事例から分かった成功のコツや具体的な構築方法も詳しく解説します。
【種類別】マッチングサイトの成功事例15選
マッチングサイトは、大きく分けて企業同士が取引する「BtoB型」、企業と消費者が取引する「BtoC型」、消費者同士が取引する「CtoC型」の3つに分類されます。3つの種類別にマッチングサイトの成功事例を紹介します。
BtoB型マッチングサイトの成功事例3選
BtoB型マッチングサイトの成功事例を3つ紹介します。
比較ビズ|ビジネスパートナー・業者を一括比較
出典:株式会社ワンズマインド「比較ビズ」
比較ビズは、仕事を依頼したい企業と仕事を受けたい企業をつなぐマッチングサイトです。運営歴は17年目を迎え、マッチング実績は10万社にものぼります。
180もの業種を取り扱っており、見積をとりたい際は、希望の条件をフォームに入力するだけで、条件にマッチする複数の業者から提案が届きます。
一括見積をとる場合、必ずしも契約する必要はなく、完全無料で利用できます。届いた提案を断る際も1クリックで完了するため、断りのメールをいれるといった手間がかかりません。
このように、比較ビズは無料で利用できるというハードルの低さや、ユーザーの操作を最小限にした手軽さから、BtoB型マッチングサイトとして高い人気を誇ります。
Boxil SaaS|SaaSサービスを一括比較
出典:スマートキャンプ株式会社「BOXIL SaaS」
Boxil SaaSは、SaaSサービス(提供事業者)とSaaSサービスを導入したい企業をつなぐマッチングサイトです。
営業・マーケティング・総務・法務・人事・経理など、さまざまな分野で活用できるSaaSサービスが掲載されており、累計掲載実績は700社を超えています。
導入したいSaaSサービスを選択すると、おすすめ順・口コミが多い順・満足度が高い順・新着順のランキング形式でサービスが一覧表示されます。気になったサービスにチェックを入れていけば、選択したサービスのみで比較も可能です。
また、ユーザーの使いやすさにこだわった点にくわえ、SaaSサービスという特定の市場へ参入した点もBoxil SaaSが成功した要因のひとつです。
これから先、SaaSサービスの需要が高まっていくことを予測し、そのうえでSaaSサービスに特化したマッチングサイトを構築しました。
このように、将来的に需要が高まる市場を見極め、特定のジャンルに特化したマッチングサイトを構築することで成功した事例のひとつです。
Linkers|ものづくり業界に特化
出典:リンカーズ株式会社「リンカーズ」
Linkersは、ものづくり業界に特化したマッチングサイトです。
従来、ものづくり業界では技術に関する情報公開が少なく、優良企業が全国各地に点在しているために、最適な技術を探すには時間とコストがかかっていました。
このような課題を解消するために開発されたのがLinkersです。Linkersではコーディネーターが全国各地の優良企業と秘密保持契約を結んでいるため、より詳しい情報を収集でき、高い精度でのマッチングが実現するようになりました。
これまで350社以上に利用されており、約2か月でのマッチングが可能な点も魅力です。このように、業界特化型のLinkersは、その業界ならではの課題を見極め、需要の高いサービスを見出したことが成功要因として挙げられます。
BtoC型マッチングサイトの成功事例5選
BtoC型マッチングサイトの成功事例を5つ紹介します。
楽天市場|国内最大級のECサイト
出典:楽天グループ株式会社「楽天市場」
楽天市場は、商品を売りたい企業と買いたい人をつなぐマッチングサイトです。楽天市場が国内最大級のECサイトと呼ばれるまでに成長した背景には、「楽天経済圏」が挙げられます。
楽天経済圏とは、生活のあらゆるシーンで楽天グループのサービスを利用することです。楽天グループでは楽天市場をはじめ、楽天モバイル・楽天ペイ・楽天銀行・楽天ひかり・楽天でんきなど、生活に関わるあらゆるサービスが提供されています。
そして、楽天グループのサービスを利用すればするほど、楽天市場での買い物がお得になるという仕組みがあります。定期的にポイント還元率が上がるキャンペーンなども開催しており、自然と利用者が増える仕組みを構築しました。
このように、楽天市場は関連サービスを活用し、集客に力を入れたことで成功したマッチングサイトのひとつです。
doda|中途採用向けの求人を掲載
出典:パーソルキャリア株式会社「DODA」
dodaは、人材を採用したい企業と求職者をつなぐマッチングサイトです。中途採用向けの求人をメインに、非公開求人を含めて約26万8,000件の求人情報を掲載しています。
豊富な診断・書類作成ツールを提供している点が特徴です。「今の働き方が合っているかが分からない」「転職先に迷っている」など、転職活動を行ううえで抱える悩みの解消につながっています。
各種診断ツールは、「まだ転職を本格的に考えていない」といったユーザーにも「まずは診断だけでもやってみようかな…」という転職のきっかけとしても役立ちます。
このように、dodaは利用ハードルを下げ、「とりあえず」というきっかけづくりによって利用を拡大させた成功事例のひとつです。
SUUMO|取扱物件数が国内最大級
出典:株式会社リクルート「SUUMO」
SUUMOは、不動産会社と家を買いたい人や借りたい人をつなぐマッチングサイトです。取扱物件数は国内No.1で、圧倒的な人気を誇ります。
SUUMOの特徴のひとつに、物件の探しやすさがあります。検索条件が豊富なうえ、エリアや路線図から探すことはもちろん、地図から指でなぞった範囲内で探すことも可能です。お気に入り登録した物件を一覧表で比較する機能も搭載されています。
このように、SUUMOではユーザーの使いやすさにこだわったこと、競合サイトと比較して圧倒的な物件数を掲載していることによって成功した事例のひとつです。
UberEats|フードデリバリーサービスの先駆け
出典:UberJapan株式会社「ウーバーイーツ」
UberEatsは、飲食店・自宅で飲食店の食事を楽しみたい消費者・食事を届ける配達員の3者をつなぐマッチングサイトです。コロナ禍をきっかけにテイクアウト需要が高まり、UberEatsはフードデリバリーサービスの先駆けとなりました。
マッチングサイトは「提供者」と「利用者」の2者をマッチングさせるのが一般的ですが、UberEatsでは3者をマッチングさせるという点で、他のマッチングサイトと差別化を図っています。
テレビCMをはじめとするプロモーション活動にも力を入れており、世間からの認知度も高い点が特徴です。認知度が高いと「ブランド」として顧客からの信頼を獲得でき、自然と利用を促進することにもつながります。
このように、UberEatsは3者間のマッチングという差別化を図ったうえ、効果的なプロモーションを行ったことで利用拡大に成功しています。
airCloset|女性向けのファッションサブスク
出典:株式会社エアークローゼット「エアークローゼット」
airClosetは、洋服を貸し出す企業と借りたい人をつなぐマッチングサイトです。女性向けのファッションサブスクとも呼ばれ、35万着300ブランドもある洋服を定額でレンタルできます。
airClosetが成功した要因は、ターゲットとサービスで満たしたいニーズが明確化されていたことです。
仕事などで忙しい女性をメインターゲットとし、「服を買いに行く時間がない」「どんな服が似合うか分からない」「服の管理や手入れが面倒」といったニーズを満たしています。
50を超える診断項目に回答すれば、その回答をもとに好みや似合う服を分析し、プロが組んだコーデを自宅に届けてくれます。忙しい女性がいかに手間なく洋服を楽しめるかを追求したサービス内容です。
CtoC型マッチングサイトの成功事例7選
CtoC型マッチングサイトの成功事例を7つ紹介します。
メルカリ|国内利用者数No.1のフリマサービス
出典:株式会社メルカリ「メルカリ」
メルカリは、不用品を売りたい人と買いたい人をつなぐマッチングサイトです。フリマサービスのなかでも圧倒的な人気を誇り、月間利用者数は2200万人以上にものぼります。
従来のフリマサービスでは、「個人情報を共有するのが怖い」「きちんと支払われるかが不安」など、個人同士の取引ならではの不安を感じるユーザーが多い傾向にありました。このような不安を解消したのがメルカリです。
メルカリでは、利用者同士が個人情報を共有せずに取引できる「メルカリ便」や、取引が完了するまでは一時的にメルカリ事務局が支払金を預かる仕組みなどを採用しています。
このように、メルカリは既存サービスの課題を見つけ、独自の機能でこれまでの課題をカバーしたことで、国内最大級のフリマサービスにまで成長しました。
Airbnb|世界で人気の民泊サービス
出典:Airbnb, Inc.「Airbnb」
Airbnbは、空き物件を所有する人と宿泊したい人をつなぐマッチングサイトです。2022年12月時点で220以上の国と地域で物件が提供されています。
Airbnbは個人が所有する物件を活用することで、「普段泊まれないような一軒家に泊まる」「大人数で泊まる」など、一般的な宿泊施設にはない体験を提供できることに着目しました。
一般的な宿泊施設より格安で宿泊できる物件も提供されており、外国人観光客やバックパッカーからも人気です。
このように、Airbnbは自社ホテルを設営することなく、個人が所有する空き物件を宿泊施設として提供してもらうことで、一般的な宿泊施設では満たせないニーズを満たし、成功しています。
instabase|空きスペースの所有者と利用者をマッチング
出典:株式会社Rebase「インスタベース」
instabaseは、空きスペースの所有者とその利用者をつなぐマッチングサイトです。現在、全国3万2,000件以上のスペースが掲載されています。
貸会議室をはじめ、撮影スタジオ・レンタルキッチン・ギャラリー・ライブハウスなど、さまざまなシーンで利用できるスペースが提供されていることで人気です。
レンタル予約はWeb上で完結するため、手軽かつ短時間で利用したいスペースを見つけられます。
空きスペースを提供する側は掲載に料金が発生せず、成約があってはじめて手数料が発生するため、「とりあえず掲載だけでも」と利用ハードルを低くしている点も成功要因のひとつです。
ecbo cloak|空きスペースを活用した荷物預かりサービス
出典:ecbo株式会社「ecbo cloak(エクボクローク)」
ecbo cloakは、荷物を預かる空きスペースを所有する店舗と荷物を預けたい人をつなぐマッチングサイトです。コインロッカーと同程度の料金で荷物を預けられ、提携店舗は全国1,000か所以上にも上ります。
開発者によると、訪日外国人と一緒にコインロッカーを探した際、40分かけても空いているコインロッカーが見つからなかったことをきっかけに、ecbo cloakの開発に至ったといいます。
荷物を預かる側にとっては、これまで無駄になっていたスペースが収入源になる点がメリットです。
このように、ecbo cloakは社会に潜む課題を今あるリソースの活用によって解決に導いた成功事例のひとつです。
ココナラ|個人・ビジネスで利用できるスキルマーケット
出典:株式会社ココナラ「coconala」
ココナラは、スキルを売りたい人と買いたい人をつなぐマッチングサイトです。個人・ビジネスを問わず利用でき、取り扱われているスキルはイラスト・Webサイト制作・士業・占い・悩み相談など、多岐にわたります。
サービス利用はオンラインで完結するため、時間や場所を問わず取引できる点が特徴です。購入や販売の際に必要なお金のやりとりは、すべてココナラが仲介するうえ、365日体制でのサポートを行っているため、ユーザーの安心感につながっています。
このように、多様な属性のユーザーを獲得するために多彩なスキルを取り扱うこと、ユーザーの不安を解消するためにサポートを充実させることによって多くのユーザー獲得に成功しています。
タスカジ|家事代行マッチングサービス
出典:株式会社タスカジ「タスカジ」
タスカジは、家事スキルを所有する人と家事代行を依頼したい人をつなぐマッチングサイトです。
一般的な家事代行サービスとは異なり、あくまでも個人同士の契約となるため、リーズナブルな価格で提供されています。掃除・料理・整理収納・洗濯などの豊富な業務範囲を、追加料金なしで依頼できる点も魅力です。
「一般人のハウスキーパーで本当にスキルはあるの?」といった不安を解消するべく、ハウスキーパーとして登録する際に独自テストを行ったり、お互いを評価し合うレビュー制度を搭載したりするなどの工夫がされています。
より多くのマッチングを成立させるため、仕事内容を自分で選べる仕組みやハウスキーパー同士でフォローし合えるコミュニティの提供など、ハウスキーパーを集めるための対策を行っている点も成功要因のひとつです。
Crowd Care|ホームヘルパーのマッチングサービス
出典:株式会社クラウドケア「クラウドケア」
Crowd Careは、ヘルパーと介護が必要な人をつなぐマッチングサイトです。
介護といっても食事介助・通院付添・夜間の見守り介護・認知症ケアなど、さまざまな内容があります。Crowd Careでは必要な介護内容を自由に組み合わせて依頼でき、依頼された内容に合わせて最適なヘルパーをマッチングします。
15時間を超える依頼や通常サービス以外の依頼が可能な「オーダーメイド」というサービスも提供しており、柔軟性に優れている点も魅力です。
このように、Crowd Careでは介護というカテゴリに特化したことと、サービスの柔軟性の高さから利用を拡大させ成功しています。
事例から学ぶ!マッチングサイトを成功させる3つのコツ
成功事例から分かったマッチングサイトを成功させるコツには以下の3つが挙げられます。
- 参入する市場を見極める
- 既存サービスの課題を見つける
- 集客に力を入れる
それぞれのコツについて1つずつ詳しくみていきましょう。
参入する市場を見極める
マッチングサイトはすでに多くのサービスが提供されているため、参入する市場の見極めが重要です。
例えば、総合型のECサイト市場には、Amazonや楽天市場といった大企業が優位性を確保しているため、これからの参入は困難です。しかし、「○○専門ECサイト」というように特定のジャンルに特化することで、新たな市場を開拓できる可能性があります。
また、参入する市場の将来性にも着目しましょう。例えば、Boxil SaaSはSaaSサービスの需要の高まりから将来性があると判断し、SaaSサービスに特化したマッチングサイトを構築しています。
世間の価値観がどのように変化しているのか、どのような社会問題があるかなどを調査したうえで、今後需要が高まっていきそうな市場を見つけることもマッチングサイトを成功させるポイントです。
既存サービスの課題を見つける
既存サービスと似たり寄ったりのマッチングサイトを構築しても、新たなユーザー獲得は困難なため、他社と差別化を図る必要があります。他社との差別化を図るのに役立つのが、既存サービスの課題を見つけることです。
例えば、メルカリは従来のフリマサービスの課題であった個人情報の共有や支払問題を解決するために独自機能を搭載しました。その結果、従来の課題に不安を感じ利用を避けていたユーザーが、一気にメルカリを利用するようになったのです。
このように、既存サービスの課題はこれから構築するマッチングサイトの強みにもなり得ます。そのため、他社との差別化ができないと悩んでいる方は、「自社が」というより「他社が」どのような課題を抱えているかを分析することがおすすめです。
集客に力を入れる
マッチングサイトは利用者が多ければ多いほど、マッチングする確率が上がり、マッチングの精度も向上します。そのため、マッチングサイトを成功に導くには、より多くのユーザーを獲得することに力を入れましょう。
大々的に広告を打ち出すことは短期間で集客するのに最適ですが、長期にわたって継続的に集客し続けるには、「利用ハードルを下げる」「ユーザーの利便性を高める」の2点を意識してみてください。
例えば、dodaのメインターゲットは「転職したい人」ですが、診断ツールなどを提供することで「転職を迷っている人」の転職のきっかけづくりを行っています。
instabaseでも、成約するまでは料金が発生せず、「とりあえず掲載だけでも」と利用ハードルを下げています。
また、SUUMOではユーザーの検索性を高めるために、多様な検索方法と豊富な検索条件を提供することで、ユーザーの利便性を高めているよい事例です。
実際にマッチングサイトを利用する際、何が利用ハードルを高めてしまうのか、どのような機能があったら便利なのかなど、ユーザー目線でサービス内容を充実させていきましょう。
マッチングサイト構築はノーコード開発が最適
マッチングサイト構築はノーコード開発が最適です。ノーコード開発は、プログラミング言語などの専門知識が必要なく、ドラッグ&ドロップといった直感的な操作で開発を進められるため、既存の人材を活用できます。
現在さまざまなノーコードツールが提供されていますが、なかにはマッチングサイト向けのノーコードツールもあります。
マッチングサイト向けのノーコードツールでは、マッチングサイトに必要な機能が標準搭載されていたり、ベンダーがマッチングサイトに関するノウハウを持っていたりするなど、効率的にマッチングサイトを構築することが可能です。
また、ノーコード開発であれば、一般的な構築手法であるスクラッチ開発やパッケージ開発と比較して大幅に開発コストを抑えられます。そのため、本格的な開発だけでなく、PoCやMVP開発にも最適です。
「コストを抑えて開発したい」「小規模ビジネスを立ち上げたい」「試験的に新規事業を始めたい」といった方は、ノーコード開発を検討してみてください。
まとめ
マッチングサイトには「BtoB型」「BtoC型」「CtoC型」の3種類があり、それぞれの分野ですでに多くのサービスが提供されています。マッチングサイト市場は今後も拡大することが予測されているため、これからの参入も決して遅くありません。
ノーコード開発であれば低コストかつ短期間での構築が実現します。今回紹介した成功事例を参考に、自社ならではのマッチングサイト構築を検討してみてください。