マッチングサイトの市場規模は拡大傾向にあり、提供される分野の幅も広がっています。そのため、これからマッチングサイト市場への参入を検討している方も多いのではないでしょうか。
ただ、マッチングサイトをビジネスとして成功させるには、どのように収益を発生させるのかというマネタイズ手法の選定が重要です。
本記事では、マッチングサイトの4大マネタイズ手法と手法別のサービス事例などを紹介します。
マッチングサイトの4大マネタイズ手法
マッチングサイトの代表的なマネタイズ手法には、以下の4つが挙げられます。
- 有料会員モデル
- 手数料モデル
- サブスクリプションモデル
- 広告収入モデル
それぞれのマネタイズ手法がどのような仕組みなのか、どのタイミング・期間でマネタイズを導入すればよいのかなど、詳しくみていきましょう。
有料会員モデル
有料会員モデルは、基本機能を無料で提供し、追加機能や機能制限の解除を行うのに有料会員になってもらうという仕組みです。恋愛・婚活系のマッチングサイトでよく採用されています。
例えば、恋愛系のマッチングサイトで、登録やプロフィールの閲覧は無料で利用でき、メッセージの送信には有料会員への登録や課金が必要になるというイメージです。
基本機能を無料で提供することからユーザーを集めやすい反面、有料会員になってもらえないと収益が発生しません。
そのため、ある程度のユーザー数を獲得したタイミングでの導入がおすすめです。また、いかに追加機能や機能制限の解除に魅力を感じてもらえるかも重要となるため、ユーザーニーズに沿ったサービス内容を検討しましょう。
手数料モデル
手数料モデルは、マッチングサイト上でユーザー同士の取引が完了した際に、手数料を徴収する仕組みです。手数料は一定料金のものもあれば、取引金額の○%というように割合で設定されているものもあります。
フリマサイトやクラウドソーシングサイトなどでよく採用されており、例えば、クラウドソーシングサイトを通じて仕事が完了した際に、売上の一部がシステム利用料として差し引かれるというイメージです。
取引が完了しない限りユーザーは料金が発生しないため、利用ハードルが低く、ユーザーを集めやすい点が特徴です。そのため、サービス開始と同時に手数料モデルを導入しても問題ありません。
少ない手数料からはじめて、ユーザーの増加とともに手数料を増やすというように、計画的な収益化を行いましょう。
しかし、取引が発生しない限り収益は発生せず、取引金額が小さいと徴収できる手数料も少なくなります。そのため、手数料モデルを採用する際は、取引数を増やすための集客や高額な取引が行われる市場の選定などが重要です。
サブスクリプションモデル
サブスクリプションモデルは、一定期間の利用に対して定額料金を徴収する仕組みです。音楽ストリーミングサービスや動画配信サービスなど、継続的なコンテンツ提供を行うサービスでよく採用されています。
例えば、月額1,500円の定額料金を支払うことで、提供されている映画が見放題になるといったイメージです。
月単位や年単位で定額料金を徴収するため、収益予測がつきやすく、安定性が高いというメリットがあります。
ただし、サービスの利用には必ず料金が発生するため、初月無料キャンペーンを行うなど、集客方法を工夫しなければなりません。
また、継続的にコンテンツを提供するための準備にも大幅なコストが割かれるため、ユーザーが集まらなければ莫大な損失になってしまいます。
このような特徴があることから、サービス開始当初からサブスクリプションモデル単体で運用する企業は少なく、他のマネタイズ手法と組み合わせて導入される傾向にあります。
広告収入モデル
広告収入モデルは、マッチングサイトの利用ユーザーに対して広告を出稿したい企業や個人から広告費を徴収する仕組みです。主にSNSで採用されています。
マッチングサイトの利用ユーザーは、マッチングサイトの利用料金が必要ないため、ユーザーを集めやすい点が特徴です。広告にもテキスト広告やバナー広告など、さまざまな種類があるため、自社のマッチングサイトに合わせた広告枠を設置できます。
ただし、広告収入モデルで収益をあげるには、莫大なアクセス数が必要です。そのため、サービス開始当初のユーザーが少ない段階での導入には向きません。
マッチングサイトへの集客に注力することはもちろん、他のマネタイズ手法と組み合わせて導入するといった工夫を行いましょう。
マネタイズ手法別!マッチングサイト事例4選
マッチングサイトのマネタイズ手法ごとに具体的なサービス事例を紹介します。
有料会員モデルの事例|Pairs
出典:株式会社エウレカ「Pairs(ペアーズ)」
Pairsは、恋活・婚活系のマッチングサイトで、累計登録者数は2000万人を突破しています。
「お相手検索」や「マッチング」までは無料で利用でき、マッチングした相手とのメッセージのやりとりや・条件検索・いいね数追加などの追加機能は有料会員のみが利用できる仕組みです。
Pairsが成功している要因には、ユーザー数の多さも挙げられます。ユーザー数の多さは出会いやすさに直結することから、さらなるユーザー獲得につながっています。
このように、マッチングサイトでは、ユーザーの母数を増やすことが収益化を成功させるために重要です。
手数料モデルの事例|メルカリ
出典:株式会社メルカリ「メルカリ」
メルカリは、日本最大級のフリマサービスです。
出品や購入※には手数料が発生しないものの、取引が完了した際に、出品者から販売手数料として売上の10%が差し引かれます。例えば、1,000円の商品が購入され取引が完了した場合、手元に残る売上は販売手数料を差し引いた900円です。
消費者同士の取引であるため、手数料として徴収できる金額はそれほど大きくありません。しかし、取り扱うジャンルの幅を広げたり自社ならではの機能を搭載したりするなど、集客に力を入れ、取引数を増やしたことで成功した事例のひとつです。
※購入時の支払方法によっては手数料が発生
サブスクリプションモデルの事例|Netflix
出典:Netflix合同会社「ネットフリックス」
Netflixは、世界で利用されている動画配信サービスです。いくつかのプランが提供されており、月額料金を支払うことで映画やドラマが見放題になります。
スマホ・タブレット・スマートテレビ・ゲーム機など、さまざまな端末で視聴できるうえ、プランによってはオフライン視聴も可能です。また、Netflix独占配信の映画やドラマ、オリジナルコンテンツなどを提供することで、集客にも力を入れています。
2022年11月には「広告つきスタンダード」というプランが登場し、広告収入モデルと組み合わせた収益化を行っています。このように、いくつかのマネタイズ手法をうまく組み合わせることで、より高い収益性を維持している成功事例のひとつです。
広告収入モデルの事例|Instagram
出典:Meta「Instagramについて | 好きなものを撮り、作り、シェアする」
Instagramは、世界で利用されているSNSのひとつです。ユーザーが無料で利用しているフィード投稿やストーリーズ、検索タブなどには、さまざまな広告枠が設置されており、そこに広告を出稿したい企業・個人から広告費を徴収しています。
Instagramユーザーにとってはすべての機能を無料で利用できるため、利用ハードルが低く、世界で約10億人、国内だけでも約3300万人というユーザー数を誇ります。
ユーザー数が多いと、幅広いユーザーにアプローチできるとして、広告主も集まりやすい傾向にあります。
マッチングサイトを成功へ導くコツ
最適なマネタイズ手法を選定することはもちろん、他にもマッチングサイトを成功へ導くコツがあります。具体的なコツは、以下の2つです。
- 集客に力を入れる
- 複数のマネタイズ手法を組み合わせる
それぞれのコツを詳しくみていきましょう。
集客に力を入れる
マッチングサイトは利用ユーザー数が多いほど取引数が増えたり、広告を出したい企業・個人が見つかりやすくなったりするなど、どれだけ多くのユーザーを集められるかが重要です。
例えば、手数料モデルを導入した場合、1回の取引金額が小さくても取引数そのものが多ければ、高い収益性が期待できます。
そのため、利用ハードルが低ければ自社にしかない機能やサービスを提供する、利用ハードルが高ければお試し期間や割引を実施するといった、サービス内容に合わせた集客に力を入れることが大切です。
複数のマネタイズ手法を組み合わせる
成功しているマッチングサイトでは、複数のマネタイズ手法を組み合わせて導入している例も少なくありません。
例えば、広告収入モデルは、マッチングサイトの利用ユーザーがいないサービス開始当初には向かないマネタイズ手法です。
そのため、はじめは手数料モデルを導入しユーザーを集め、ある程度のユーザーが集まったら広告収入モデルも導入してみるといった、最適なタイミングでのマネタイズの導入や組み合わせが重要です。
実際、YouTubeでも「有料会員モデル」と「広告収入モデル」2つのマネタイズ手法が導入されており、収益性が安定しています。
はじめから複数のマネタイズ手法を導入するのか、途中から複数のマネタイズ手法を組み合わせるのかは、サービス内容や獲得できているユーザー数によって見極めることが大切です。
マッチングサイトの構築ならノーコード開発
社内でマッチングサイトを構築する場合、ノーコード開発がおすすめです。
マッチングサイトを構築するとなると、システム開発やデザインなど、専門知識を持ったIT人材が必要となり、外部への発注が必要になるケースも少なくありません。しかし、IT人材の確保や外注には大幅なコストがかかってしまいます。
その反面、ノーコード開発はドラッグ&ドロップといった直感的な操作のみで開発を進められるため、専門知識が必要なく、既存の人材を活用できます。スクラッチ開発やパッケージ開発に比べて開発コストが抑えられる点もメリットです。
マッチングサイト構築向けに提供されているノーコードツールもあるため、用途に合わせてツール選定を行うとよいでしょう。
まとめ
マッチングサイトをビジネスとして成功させるには、マネタイズが欠かせません。マッチングサイトのマネタイズ手法には主に4種類が挙げられ、それぞれ特徴や導入すべきタイミングが異なります。
自社のサービス内容に合わせてマネタイズ手法を選定し、場合によってはいくつかのマネタイズ手法を組み合わせながら、効率的に収益性を高めていきましょう。