マッチングサイトには、フリマサービスやクラウドソーシングサービスなどが挙げられ、身近な存在となってきました。マッチングサイトの市場規模も拡大傾向にあることから、これからマッチングサイトの立ち上げを検討している方も多いのではないでしょうか。
しかし、なかには「そもそもマッチングサイトのビジネスモデルって?」「どうやって収益を得ているの?」といった悩みを抱えている方も少なくありません。
そこで、本記事ではマッチングサイトのビジネスモデルをはじめ、種類や収益モデル、成功事例まで詳しく解説します。
マッチングサイトのビジネスモデル・仕組み
マッチングサイトとは、提供するユーザーと求めるユーザーをマッチングさせるサイトのことです。
例えば、不用品を売りたい人と買いたい人をマッチングさせるフリマサービスや、人材を調達したい企業と仕事を探している個人をマッチングさせる求人サイトなどがマッチングサイトの一種です。
そして、ユーザー同士がマッチングする場所を提供する事業者は「プラットフォーマー」と呼ばれます。プラットフォーマーはユーザーから徴収する手数料や広告収入によって収益を生み出します。
マッチングサイトの種類や主な収益モデルについて、さらに詳しくみていきましょう。
マッチングサイトは大きく分けて3種類
マッチングサイトには、フリマサービスや家事代行サービスなどの日常生活で利用できるものから、副業や人材調達などのビジネスシーンで利用できるものまで、さまざまな種類のサービスが提供されています。
すべてのマッチングサイトを種類分けすると、大きく以下の3つに分類されます。
- BtoBマッチングサイト
- BtoCマッチングサイト
- CtoCマッチングサイト
それぞれの種類について1つずつ詳しくみていきましょう。
BtoBマッチングサイト
BtoBマッチングサイトは、「製造業者と部品メーカー」「広告代理店とクライアント企業」など、企業同士をつなぐマッチングサイトです。
BtoBマッチングサイトの多くが比較見積系のサービスを提供しています。例えば、営業支援システムの導入を検討している場合、BtoBマッチングサイトでは自社の条件に適したシステムを一覧から探したり比較したりすることが可能です。
プラットフォーマーがBtoBマッチングサイトを構築するメリットとしては、企業同士で取引が行われるため、他の種類に比べて取引金額が大きく、収益性が高い・安定している点が挙げられます。
BtoCマッチングサイト
BtoCマッチングサイトは、企業と消費者をつなぐマッチングサイトです。代表的なサービスには以下が挙げられます。
このように、BtoCマッチングサイトといっても、さまざまなジャンルのサービスが提供されています。
ただ、BtoCマッチングサイトの多くは大企業がサービスを展開しているため、これから参入するにはハードルが高い傾向にあります。そのため、BtoCマッチングサイトを構築する場合は、ひとつのジャンルに特化したニッチなサービスを提供するなど、他社と差別化を図ることが大切です。
CtoCマッチングサイト
CtoCマッチングサイトは、消費者同士をつなぐマッチングサイトです。シェアリングエコノミー系のサービスがメインになっており、具体的なサービスとしては上記が挙げられます。
IT技術が発展し、スマホを当たり前に持つようになった現代では、消費者同士が安全に情報を共有したりオンラインで決済したりできるようになりました。
また、継続的な景気の低迷により節約志向が高まったり、環境問題の観点から持続可能性への意識が高まったりしたことで、モノを「所有」するより「共有」するという価値観に変化しつつあります。
このような背景から、マッチングサイトのなかでもCtoCマッチングサイトの需要は急激に拡大しています。
マッチングサイトの主な収益モデル4選
マッチングサイトの主な収益モデルとしては、以下の4つが挙げられます。
- 掲載料モデル
- 手数料モデル
- サブスクリプションモデル
- 広告収入モデル
マッチングサイトの種類やジャンルによって、どの収益モデルが向いているかは異なります。
それぞれの収益モデルがどのような仕組みなのかについて詳しく解説しますので、自社が構築したいマッチングサイトに最適な収益モデルがどれかを見極める参考にしてください。
掲載料モデル
掲載料モデルは、提供側から掲載料を徴収する収益モデルです。ECサイトなどで採用されており、マッチングが成立するかしないかは関係ありません。
例えば、楽天市場にショップを出店するには、月額出店料が発生します。月額出店料は、プランによって異なりますが、商品の売上によって変動することはなく各プラン一律です。
掲載料モデルの多くは月額もしくは年額制で、プラットフォーマーは安定して収益をあげられるというメリットがあります。
しかし、「商品が売れるかも分からないのに掲載料を払いたくない」というように、提供側にとってはハードルが高いと捉えられるかもしれません。そのため、掲載料モデルを採用する場合は、無料お試し期間を設けるなど、ハードルを下げるための工夫が必要です。
手数料モデル
手数料モデルは、マッチング成立時にユーザーから手数料を徴収する収益モデルです。フリマサービス・民泊サービス・クラウドソーシングサービスなど、多くのマッチングサイトで採用されています。
例えば、クラウドソーシングサービスのクラウドワークスでは、取引が完了した際、報酬額に応じて一定の割合でシステム利用料が、ワーカー側(=仕事を受注したユーザー)の報酬から差し引かれます。
このように、手数料モデルではマッチングが成立するまでもしくは取引が完了するまでは料金が発生しないため、ユーザーにとって利用ハードルが低く、多くのユーザーを獲得しやすい点が特徴です。
しかし、プラットフォーマーにとってはマッチングが成立しない限り収益が生まれないことになるため、収益の安定性は低いというデメリットがあります。
サブスクリプションモデル
サブスクリプションモデルは、一定の利用期間に対して定額料金を利用ユーザーから徴収する収益モデルです。主に動画配信サービスや音楽ストリーミングサービスなどで採用されています。
利用ユーザーは定額料金を支払うことで、サービス内の全コンテンツを利用できるようになる点が特徴です。
一定期間に対して継続的に定額料金が発生することから、プラットフォーマーにとっても安定した収益を得られるというメリットがあります。
広告収入モデル
広告収入モデルは、サービス内に広告枠を設置し、広告主から広告費を徴収する収益モデルです。主に求人サイトや不動産ポータルサイトなどで採用されています。
広告収入モデルを採用しているマッチングサイトのなかには、広告収入のみでマッチングサイトを運営しているケースもあります。この場合、マッチングサイトの提供ユーザーと利用ユーザーのどちらもがサービスを無料で利用できる点が特徴です。
ただし、マッチングサイトそのものの利用者が少なければ、広告を見てくれるユーザーも少ないため、広告を出稿してくれる企業を見つけにくい傾向があります。
また、広告収入のみで運営をまかなうほどの収益をあげるには、莫大なアクセス数を稼がなければなりません。そのため、広告収入モデルは他の収益モデルと併用して採用されることがほとんどです。
【種類別】マッチングサイトの成功事例
マッチングサイトの種類別で成功事例を3つ紹介します。
BtoBマッチングサイトの成功事例|比較ビズ
出典:株式会社ワンズマインド「比較ビズ」
比較ビズは、国内最大級のビジネスマッチングサイトで、これまで10万社以上のマッチング実績を誇ります。180もの業種からビジネスパートナーを探すことができ、複数の企業から一括見積もりを取ることも可能です。
比較ビズは掲載料モデルを採用しており、ビジネスパートナーを探す利用ユーザーは無料で利用できます。
また、比較ビズならではの機能として、大まかな費用感を算出できるシミュレーション機能があります。会員登録不要で利用でき、算出にはいくつかの項目に回答するだけという手軽さが魅力です。
大体の費用相場を把握したうえで製品・サービスの導入を検討できるため、比較する際の基準としても役立つでしょう。
BtoCマッチングサイトの成功事例|doda
出典: パーソルキャリア株式会社「DODA」
dodaは、非公開求人を含む26万7,000件以上の求人を取り扱う転職サイトです。豊富な条件から希望の求人を絞り込めることから、求職者からも高い人気を誇ります。掲載料モデルを採用しており、求職者は無料で利用可能です。
また、dodaでは「合格診断」「キャリアタイプ診断」「オンライン仕事力診断」など、豊富な診断・書類作成ツールが提供されています。転職に不安を抱えるユーザーに寄り添った機能を提供することで、多くのユーザー獲得につながっています。
CtoCマッチングサイトの成功事例|メルカリ
出典:株式会社メルカリ「メルカリ」
メルカリは、不用品を簡単に売買できるフリマサービスです。CtoCマッチングサイトのなかでも知名度が高く、月間利用者数は2200万人以上にものぼります。
メルカリでは、手数料モデルを採用しており、取引完了時に、出品者から取引金額の10%を販売手数料として徴収します。
また、メルカリは以下のような独自機能を採用し、ユーザーの不安を解消することで、多くのユーザーを獲得しました。
- ユーザー同士が個人情報を共有することなく取引できる機能(メルカリ便)
- 商品代金を一時的にメルカリが預かる売買システム
- 365日24時間体制のパトロール
- 偽ブランド品の取り締まり
- 捜査機関や官公庁との連携
マッチングビジネスを成功に導く5つのコツ
マッチングサイト市場へ参入する際、ビジネスを成功に導くコツとして以下の5つが挙げられます。
- ターゲットを特定の属性に絞り込み過ぎない
- 参入する市場・ニーズを見極める
- 集客方法を明確化する
- ユーザーの使いやすさを重視する
- ユーザーの意見を積極的に取り入れる
それぞれのコツについて詳しく解説しますので、マッチングサイト立ち上げ時の参考にしてください。
ターゲットを特定の属性に絞り込み過ぎない
さまざまな属性のユーザーがターゲットとなれば、それだけ多くのユーザーを獲得できます。そのため、マッチングサイト構築時は、ターゲットを特定の属性に絞り込み過ぎないことが大切です。
例えば、メルカリではメンズ・レディースの洋服にくわえ、ファッション小物・家具・家電・インテリア小物・グッズ・チケットなど、取り扱う商品のジャンルは多岐にわたります。
チケットを購入しようとメルカリに訪問したユーザーが、チケットの購入をきっかけに関連グッズを購入することもあるでしょう。
このように、ターゲットを特定の属性に絞り込み過ぎず、多様な属性を持つユーザーがつながるようなマッチングサイトを構築することが大切です。
参入する市場・ニーズを見極める
すでに多くのマッチングサイトがさまざまな業界・ジャンルで提供されています。そのため、参入する市場やニーズを見極めることが大切です。
例えば、総合型のECサイトではAmazonや楽天市場が優位性を確保しており、これから参入するにはかなりハードルが高いといえます。ECサイトを展開する場合は、「○○専門のECサイト」というように、ニッチなジャンルに絞り込むとよいでしょう。
ただし、マッチングサイトを成功させるにはターゲットを絞り込み過ぎないことも重要とお伝えしました。
そのため、サービス提供地域を世界に広げてターゲット層を増やしたり、関連サービスと紐づけて既存顧客の流入を狙ったりするなどの工夫が必要です。
参入する市場・ニーズを見極める際は、競合サービスの課題点やユーザーの意見からどのような機能が求められているかを見つけることがおすすめです。競合サービスにない機能を搭載したサービスであれば、競合との差別化を図れます。
集客方法を明確化する
マッチングサイトではより多くのユーザーを獲得することが大切です。ユーザーが少ない状態では、マッチングの難易度が高く、ユーザーの満足度を高められないため、結果としてユーザーの早期離脱につながりかねません。
ユーザーが少ないと「マッチングが成立しない→満足度が下がる→ユーザーが離脱する」という負のループから抜け出すことが困難になります。そのため、マッチングサイトへの集客方法は事前に明確化させておくことが大切です。
具体的な集客方法には、SNSでの拡散・SEO対策・プレリリース配信・広告の出稿などが挙げられます。
サービス開始当初の集客では、どれかひとつの方法に力を入れるというより、複数の集客方法で多角的にユーザー獲得を目指したほうがよいでしょう。そうすることで、幅広い属性のユーザーの目に留まり、獲得したユーザーの属性が偏りにくくなります。
ユーザーの使いやすさを重視する
マッチングサイト構築時は、ユーザーの使いやすさを重視しましょう。ユーザーを獲得できても、操作性が悪ければ「使い方が分からない」「使いこなせない」とユーザーのストレスにつながり、離脱してしまう可能性があります。
理想は、ユーザーが使い方や操作方法を見なくても直感的に操作できることです。ユーザーがストレスなく利用できるマッチングサイトでは、ユーザー満足度が高まり、リピーター獲得や新規ユーザー獲得が期待できます。
操作性を高める具体的な対策には、ユーザーが迷わない自然な導線や目立つボタン、詳細な条件で絞り込める検索機能などが挙げられます。
ユーザーの意見を積極的に取り入れる
マッチングサイトにおいて、プラットフォーマーはユーザー同士がマッチングする場所を提供するのみで、実際に取引を行うのはユーザーです。そのため、ユーザーからの意見は積極的に取り入れるようにしましょう。
ユーザーの意見を取り入れることは、サービス品質を向上させるだけでなく、ユーザーの満足度向上にもつながります。
ユーザーからの意見を放置してしまうと、そのユーザーの意見をもとに他社が新たなサービス開発を行う可能性も考えられます。差別化を図った他社サービスへ顧客が流れていくケースもあるため、ユーザーの意見は自社サービスの改善に役立てましょう。
マッチングサイト構築にはノーコード開発がおすすめ
マッチングサイトの構築には、ノーコード開発がおすすめです。ノーコード開発は、プログラミング言語を用いたコーディングが必要なく、ドラッグ&ドロップといった直感的な操作のみで開発を進められます。
専門知識不要のためIT人材を確保する必要がなく、既存の人材を活用できるため、IT人材の調達や育成にかかる手間とコストを削減できます。
また、一般的な開発手法であるスクラッチ開発やパッケージ開発は、300~3000万円程度のコストが必要です。スクラッチ開発の場合は、1000万円を超えるケースがほとんどで、小規模ビジネスの立ち上げや中小企業には向きません。
しかし、ノーコード開発の費用相場は100~500万円程度と、大幅に開発コストを抑えられます。ノーコード開発によって最短1か月で開発・リリースされたマッチングサイトもあり、圧倒的短期間で開発できる点もメリットです。
「開発コストを抑えたい」「短期間でいち早くビジネスを立ち上げたい」といった方は、ノーコード開発でマッチングサイトを構築してみてはいかがでしょうか。
まとめ
マッチングサイトは、不用品を売りたい人と買いたい人のように、提供するユーザーと求めるユーザーをマッチングさせるビジネスモデルです。マッチング場所を提供するプラットフォーマーは、掲載料や手数料、広告収入などの収益モデルを採用しています。
すでに幅広い業界・ジャンルで多くのマッチングサイトが提供されており、市場やニーズによっては参入ハードルが高いケースもみられます。
そのため、参入する市場やニーズ、ターゲットを見極めたうえで、競合と差別化を図ったマッチングサイトを構築することが大切です。マッチングサイト構築時にはノーコード開発を活用し、短期間かつ低コストでの開発を実現しましょう。