プラットフォームビジネスは、商品・サービスの提供者と利用者をつなぐプラットフォームを提供するビジネスモデルです。
近年、プラットフォームビジネスに参入する企業は増加傾向にあり、市場規模は今後も拡大すると予測されています。このような背景から「これからプラットフォームビジネスを立ち上げよう」と起業を検討している方も多いのではないでしょうか。
しかし、プラットフォームビジネスはプラットフォームの種類・取引形態・収益モデル・ターゲットなどのさまざまな要素により、ビジネスモデルは異なります。
本記事ではプラットフォームビジネスで起業するにあたって身につけておきたい基礎知識から、起業の流れや成功のコツまで詳しく解説します。ぜひプラットフォームビジネス立ち上げの参考にしてください。
プラットフォームビジネスの基礎知識
プラットフォームビジネスの基礎知識として、以下の内容を1つずつ詳しくみていきましょう。
- プラットフォームビジネスの概要
- メリット
- デメリット
- 収益モデル
プラットフォームビジネスとは
プラットフォームビジネスとは、商品・サービスを提供する「提供者」と、その商品・サービスを利用する「利用者」をつなぐ、プラットフォームと呼ばれる「場」を提供するビジネスです。プラットフォームを運営する事業者は「プラットフォーマー」と呼ばれます。
プラットフォームといっても、上記のようにECサイト系・シェアリング系・SNS系・フリマアプリ系など、さまざまな種類が挙げられ、種類によって「BtoB」「BtoC」「CtoC」といった取引形態も異なります。
プラットフォームビジネスのメリット
プラットフォームビジネスの主なメリットは以下の3つです。
- 開発コストを抑えられる
- ユーザーを効率的に獲得できる
- ビッグデータを取得・活用できる
プラットフォームビジネスでは、顧客に直接販売する商品・サービスを開発するわけではなく、あくまでも提供者と利用者をつなぐ場を提供します。そのため、自社商品・サービスを開発するのに比べて、開発コストを抑えられる傾向があります。
また、プラットフォームのユーザーを効率的に獲得できる点も、プラットフォームビジネスのメリットです。例えば、ECサイトで商品の提供者が増えれば、それだけ取り扱う商品数も増えるため、自然と利用者が集まってくるでしょう。
その結果、多くのユーザーの属性・行動履歴・購入履歴などの情報を得ることができ、ビッグデータとして活用することも可能となります。
プラットフォームビジネスのデメリット
プラットフォームビジネスでは、法規制に違反しないよう注意する必要があります。例えば、フリマアプリ系のプラットフォームを構築する場合、営利目的で転売(販売)するユーザーに対しては古物商許可申請の提出を求めなければなりません。
もし古物商許可申請の提出を求めず、販売者の氏名や個人情報を収集しないままプラットフォームを運営してしまうと、違法と判断され、プラットフォーマーが責任を問われる可能性があります。
ほかにもプラットフォームビジネスに関連する法規制は存在し、具体的には「特定商取引法」「不当景品類及び不当表示防止法」「古物営業法」などが挙げられます。
したがって、プラットフォームビジネスで起業する際は、「自社が構築するプラットフォームと関連する法規制は何か」「どのように対処するか」などを事前に確認・対策することが大切です。
プラットフォームビジネスの収益モデル
プラットフォームビジネスの代表的な収益モデルは4種類あります。それぞれの収益モデルを、具体的なサービス例と合わせて表にまとめました。プラットフォームビジネスを始める場合、どの収益モデルで設計するのが最適なのか考えたうえで制作する必要があります。
プラットフォームの開発が完了してから収益モデルを変更すると、システム的な変更による費用が発生したり、既存顧客の離脱につながる恐れがあります。
収益モデルについてより詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください↓↓
5STEP!プラットフォームビジネスで起業する事前準備~立ち上げ
プラットフォームビジネスで起業する際の事前準備から立ち上げまでの流れを、5STEPで紹介します。
STEP1|ターゲットを絞り込む
まずはプラットフォームを利用してもらいたいのはどのようなユーザーか、ターゲットを細かく絞り込みましょう。
新規参入者が増加傾向にあるプラットフォームビジネス市場では、ターゲットを明確かつ細かく絞り込まなければ、競合他社に勝てない可能性があります。
そのため、競合他社が参入していない市場・ターゲットを狙う、もしくは競合他社のプラットフォームに対して不満を抱えるユーザーをターゲットにするなど、競合他社と差別化を図ることが大切です。
STEP2|仮説検証を行う
ターゲットが決まったら、構築しようとしているプラットフォームが本当に実現するか、利益を生み出せるか仮説を立て、検証を行っていきましょう。
例えば、想定するターゲットに対してインタビューやアンケートを行い、どのようなニーズがどの程度あるかを調査したり、月間あたりの検索ボリュームによって需要があるかを判断したりすることが挙げられます。
どれだけ質の高いプラットフォームであっても、利用者が少なければビジネスとして成功するのは困難です。そのため、利用者を獲得できるかを事前に検証しておくことが大切です。
プラットフォームビジネスでは、PoC(概念実証)といった取り組みも大切になってくるので覚えておくと良いでしょう。
STEP3|どのようなプラットフォームにするかを明確にする
仮説検証を行ったうえで構築したいプラットフォームの方向性がみえてきたら、具体的にどのようなプラットフォームを構築するのか、どのような機能を搭載するかなどを明確にしていきます。
例えば、ECサイト系のプラットフォームを構築する場合、商品検索機能・お気に入り機能・決済機能などは、ユーザーの利便性を高めるためにも必要な機能です。
また、プラットフォームには「手数料モデル」「サブスクリプションモデル」「フリーミアムモデル」「広告モデル」の4つの収益モデルがあります。そのため、構築するプラットフォームを明確化させるこの段階で、どの収益モデルを採用するかも決めておきましょう。
このように、STEP3ではプラットフォームの種類・取引形態・搭載機能・収益モデルなど、プラットフォームの中身を具体的に決めていきます。
STEP4|必要な資金を調達する
どのようなプラットフォームを構築するかが明確になってくると、同時にどの程度の資金が必要となるかも分かってきます。プラットフォームを立ち上げる際に必要な資金は、プラットフォームの規模や搭載する機能などによって変動します。
理想とするプラットフォームを構築するためにも、資金調達は計画的に行いましょう。具体的な資金調達方法としては、以下の5つが挙げられます。
- 銀行から融資を受ける
- ビジネスローンを利用する
- 株式を交付する
- クラウドファンディングを活用する
- 補助金や助成金を活用する
STEP5|プラットフォームを構築する
構築したいプラットフォームが明確になり、必要な資金も調達できたら、実際にプラットフォームを構築していきます。プラットフォームを構築する主な方法は、「専門業者に依頼する」「社内で構築する」の2つです。
専門業者に依頼する場合、その道のプロがシステム構築を行ってくれるため、クオリティの高いプラットフォームが期待できます。ただし、業者によってかかる費用は異なり、場合によっては外注費用が高額になるケースもある点に注意が必要です。
一方の社内で構築する場合、ノーコードツールをはじめとするITツールを活用したシステム構築を行うのが一般的です。ノーコードツールであれば専門知識不要でシステム構築を行えるため、社内でIT人材を確保する必要もありません。
ただし、外注する場合も社内で構築する場合も共通して、スモールスタートを意識することが大切です。はじめから多くの機能を搭載しても、実際に運用し始めてみるとユーザーに使われない機能があるということは珍しくありません。
そのため、まずは必要最小限の機能を搭載したMVPを開発し、ユーザーの反応を見ながら徐々に機能を追加していくことがおすすめです。
プラットフォームビジネスを新規事業として成功させるコツ
プラットフォームビジネスを新規事業として成功させるコツは3つあります。それぞれのコツについて、1つずつ詳しく解説します。
ユーザー数を増やす
プラットフォームビジネスは、提供者と利用者がいて初めて成立するビジネスモデルです。ユーザー数が増えるほど、利益につながる機会も増えます。
例えば、ECサイト系のプラットフォームで提供者が増えると、それだけ提供できる商品の種類や数も豊富になります。取り扱う商品が増えれば、より幅広い利用者の需要を満たせるため、自然と提供者と利用者の双方が増加するでしょう。
また、プラットフォームは一定のユーザー数を超えると、口コミや認知度向上といったネットワーク効果によって、大々的な集客を行わずともユーザーを獲得しやすくなる傾向があります。
このように、プラットフォームビジネスではいかにユーザー数を増やせるかが勝負となります。
キャッシュポイントを作る
プラットフォームビジネスでは、多くのユーザーを集めることがキーポイントになりますが、利益を生み出すにはキャッシュポイントを作ることが大切です。
自社が構築したいプラットフォームには、手数料・サブスクリプション・プレミアム機能・広告費のどのキャッシュポイントが最適かを見極めなければなりません。
プラットフォームビジネスのキャッシュポイントとして多く採用されているのは、取引成立時に発生する手数料です。
しかし、サブスクリプションサービスの「Netflix」、プレミアム機能を提供する「YouTube」、多種多様な広告枠を設置する「Instagram」など、どのキャッシュポイントにおいても成功している企業・サービスは存在します。
そのため、どのキャッシュポイントがよいかというより、自社のプラットフォームと相性のよいキャッシュポイントを選ぶことが大切です。
独自の機能やサービスを提供する
プラットフォームビジネスに参入する企業が増えている現在、似たり寄ったりのプラットフォームを構築しても、すでに存在するサービスにユーザーが定着していれば、新たにユーザーを獲得することは困難です。
そのため、競合にはない独自の機能・サービスを提供し、自社のプラットフォームを利用する価値を生み出す必要があります。
これまでにない新しいプラットフォームを構築することもひとつですが、「サポート内容が充実している」「関連サービスと連携するとお得に利用できる」など、プラットフォームの利便性をよりよくすることも、価値を高める方法のひとつです。
このように、独自の機能・サービスを提供することで、ユーザーが競合ではなく自社を利用する理由を作りましょう。
まとめ
商品・サービスの「提供者」と「利用者」をつなぐ「場」を提供するプラットフォームビジネスですが、自社商品・サービスを開発するコストや手間がかからないとして、注目が高まっています。
ただし、注目が高まっている一方で参入する企業も増えているため、プラットフォームビジネスで起業するには、計画的かつ戦略的にプラットフォームの構築を進めていかなければなりません。
また、プラットフォームビジネスは、ユーザーが集まってこそビジネスとして成立します。そのため、立ち上げ当初はいかにユーザーを集めるかもポイントとなるでしょう。ぜひ本記事を参考に、自社ならではのプラットフォームを構築していってください。