近年、「2025年の壁」問題を背景に、DXの推進を目的としてIT技術を活用した新規事業の開発に取り組む企業が増えています。そして、IT技術を活用した新規事業のひとつとして注目されているのが、プラットフォームビジネスです。また、手軽にシステム開発が行なえる「ノーコード」の台頭もプラットフォームを加速させている一因として考えられます。
すでにインターネットを活用したプラットフォームビジネスで成功しているサービスや企業は多く、今後もプラットフォームビジネスに参入する企業は増加すると予測されています。
では、プラットフォームビジネスで成功した具体的なサービスにはどんなものがあるのでしょうか。本記事では、プラットフォームビジネスとして有名なサービス一覧や具体事例、成功させるポイントなどを詳しく解説します。
有名なプラットフォームビジネスのサービス一覧
具体的な成功事例をみる前に、プラットフォームビジネスとして有名なサービスを一覧で紹介します。意外と聞いたことのあるサービスや、知らず知らずのうちに利用しているサービスも多いのではないでしょうか。
プラットフォームと一口に言っても、様々なジャンルのものがあることがわかるでしょう。主にコミュニケーション系、アプリ系、ECサイト系、シェアリング系、クラウドソーシング系などが存在します。
プラットフォームビジネスの成功事例7選
プラットフォームビジネスの成功事例を7つ紹介します。
LINE｜誰もが利用しているコミュニケーションアプリ
出典：LINE株式会社「LINE」
LINEは、今では使っていない人がいないといってよいほど、国内で普及しているコミュニケーションアプリです。2023年6月時点での月間アクティブユーザー数は9,500万人にものぼります。
当初は無料通話アプリとして登場したLINEですが、現在では音楽のサブスクリプション・ゲーム・ニュースなどのサービスと連携しており、ユーザーと企業が集うプラットフォームとなりました。
iTunes｜音楽配信をメインとしたコンテンツ型プラットフォーム
出典：Apple Inc.「iTunes – Apple（日本）」
iTunesは、音楽配信をメインとするコンテンツ型のプラットフォームです。ユーザーはわざわざ店舗に出向くことなく、インターネットを通じて好きな音楽・動画を購入でき、購入済みの音楽・動画は新しい端末や異なる端末でも楽しめます。
音楽・動画の著作権者は、手数料を支払うことでiTunesを通じて音楽・動画を販売し、音楽・動画が購入されれば収益が還元されるという仕組みです。このように、iTunesはユーザーと著作権者をつなぐ巨大なプラットフォームとして成功しました。
Uber Eats｜フードデリバリー普及の先駆けとなったサービス
出典：Uber Technologies Inc.「ウーバーイーツ」
Uber Eatsは、フードデリバリー普及の先駆けとなったサービスです。コロナの影響により、ここ数年でフードデリバリーの需要が急激に高まり、なかでもUber Eatsは存在感を発揮してきました。
フードを「注文したいユーザー」「提供したい店舗」「店舗からユーザーへ運ぶ配達員」をつなぐプラットフォームであり、操作がすべてスマホ上で完結するという手軽さから人気を集めています。
2022年1月時点で国内の登録店舗数は15万店舗を超えており、47都道府県すべてで進出するなど、プラットフォームビジネスとして成功している事例です。
Amazon｜世界中で利用されているECサイト
出典：アマゾンジャパン合同会社「アマゾン」
Amazonは、世界中で利用されているECサイトのひとつで、国内で知らない人は少ないのではないでしょうか。個人だけでなく企業が必要な商品を調達するのに活用したり、個人・企業を問わず、自分の商品を出品したりすることも可能です。
現在では、ECサイトだけでなく「Amazon Prime Video」「Amazon Music」「Kindle」「Audible」など、コンテンツ型のプラットフォームビジネスも展開しており、多くのプラットフォームを成功させています。
楽天市場｜国内ECサイトとして最大級の規模を誇る
出典：楽天グループ株式会社「楽天市場」
楽天市場は、国内のECサイトとしては最大級の規模を誇るプラットフォームです。日用品やファッションだけでなく、インテリア・コスメ・医薬品・家電・スポーツ用品など、幅広いジャンルを取り扱っています。
また、楽天は楽天市場以外にも「楽天カード」「楽天銀行」「楽天モバイル」「楽天ひかり」など、多様なサービスを展開しており、これらのサービスを相互に利用することで、ユーザーは効率的にポイントを獲得できます。
そのため、ユーザーは「楽天のサービスを利用してポイントを貯めよう」とサービスの利用が促進されるという、ユーザーが自然と集まるプラットフォームとして成功しました。
クラウドワークス｜国内最大級のクラウドソーシングサイト
出典：株式会社クラウドワークス「クラウドワークス」
クラウドワークスは、仕事を委託したいクライアントと、仕事を受けたいワーカーをつなぐプラットフォームです。国内最大級のクラウドソーシングサイトとして知られ、利用者は全国78万社とユーザー数480万人にものぼります。
「希望の仕事を探しやすいシステム」「安心して委託できる仕組み」を構築しており、クライアントとワーカーは仕事を委託・受注するまでのアクションが少なく、簡単かつ安心して利用できます。
このように、クラウドワークスはユーザーの信頼を集めることで、着実にユーザーを獲得していった成功事例です。
ランサーズ｜高い満足度と豊富な運用実績を誇る
出典：ランサーズ株式会社「ランサーズ」
ランサーズは、高い満足と豊富な運用実績を誇るクラウドソーシングサイトです。全国60万社以上で導入されており、受発注できる仕事の種類は350種類以上にものぼります。
単なるクライアントとワーカーのマッチングだけでなく、発注に関して相談できる「専任アドバイザーサービス」や、プロ品質・安心価格で仕事を発注できる「パッケージ」など、ユーザーの利便性を高めるサービスも展開しています。
このように、ランサーズはユーザーの満足度を高めるサービス展開を行ったことで、プラットフォームビジネスを成功させたよい事例です。
事例から学ぶ！プラットフォームビジネスを成功させるポイント
成功事例を参考に、プラットフォームビジネスを成功させる3つのポイントを紹介します。
市場とターゲットを絞り込む
プラットフォームビジネスに参入する際は、市場とターゲットを細かく絞り込むことが大切です。
少ない資本でも参入しやすいという特徴から、近年でプラットフォームビジネスに参入する企業が増えたため、「みたことがある」ようなサービスでは、競合他社には到底勝つことができません。
ただし、プラットフォームがすでに存在する場合でも、ユーザーはなんらかの不満や欲求を抱えているものです。そのため、「ユーザーがどのような悩みを抱えているか」「プラットフォームが未だ存在しない市場はないか」を見極め、参入する市場とターゲットを絞り込みましょう。
「どのようなサービスがあったら便利か」というように、ユーザー目線に立つことで、より効果的かつ具体的なサービスが考案できるかもしれません。
少ないアクションで多くの価値を提供する
プラットフォームビジネスでは、ユーザー数が一定数を超えると、ネットワーク効果によって知名度が向上し、自然と新しいユーザーを獲得しやすくなる傾向があります。
つまり、まずはユーザーに利用しはじめてもらうことこそが、多くのユーザーを獲得することにつながります。
例えば、「会員のみが利用できるECサイト」の場合、ユーザーは利用するにあたって「会員登録」というアクションが必要です。このような利用を妨げる障壁のことを「フリクション」といいます。
フリクションが多ければサービスの利用まで至らず、どれだけよいサービスを提供していても意味がありません。そのため、フリクションを減らすことで利用するハードルを下げ、まずは利用しはじめてもらうことを意識しましょう。
ユーザーの不満を最小限に抑える
ニーズはユーザーによって異なるため、すべてのユーザーが不満を感じないプラットフォームを構築することは難しく、利用していくうちに不満を抱く部分は必ずあります。
しかし、完璧なプラットフォームがないからといって、ユーザーの不満を放っておくと、ユーザーは別のプラットフォームを利用しようと考えるかもしれません。
そのため、プラットフォームビジネスを展開していく際は、改善やアップデートによってユーザーの不満を最小限に抑え、ユーザー離れを防ぐことが大切です。
一時的にユーザーを獲得できても、継続して利用してもらえないと、ネットワーク効果の恩恵を受けることはできません。ユーザー獲得後は、ユーザー離れの対策を講じましょう。
まとめ
近年、参入する企業が増えていることで注目が高まっているプラットフォームビジネスですが、実は私たちの身近にもプラットフォームは存在しています。多くの企業・ユーザーが集まり、経済活動が活性化するのがプラットフォームです。
これまでに成功したプラットフォームビジネスも多く、今後もプラットフォームビジネスは拡大・成長していくことが予測されています。成功事例を参考に、市場やターゲットを絞り込んだうえで、プラットフォームビジネスを成功へ導きましょう。
