MVP開発の進め方!事例や効果的なフレームワークを交えて解説

MVP開発の進め方

MVP開発は、必要最小限の機能を搭載したプロダクトを開発することです。いち早く市場へ投入することで、ユーザーの反応をみながら改善できるため、ユーザーのニーズを正確に理解しながら製品・サービスの開発を行えるというメリットがあります。

ただ、MVP開発の実施を検討している方のなかには、具体的にどのような手順でMVP開発を進めればよいか分からないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事ではMVP開発の進め方について、事例や効果的なフレームワークとともに詳しく解説します。

目次

MVP開発の進め方・効果的なフレームワーク

MVP開発を進める際は、「MVPキャンバス」というフレームワークの活用が効果的です。

MVPキャンバスとは、製品・サービスの開発において、アイデアを整理したり検証内容を明確にしたりするためのフレームワークです。以下の10項目で構成されています。

MVPキャンバス

上記10項目の要素を順に検討していくことで、効果的なMVP開発を実施できます。MVPキャンバスの項目に沿って、事例も交えながらMVP開発の具体的な進め方をみていきましょう。

ステップ1|仮説を立てる

まずは、ユーザーがどのような課題を抱えていて、どのような価値を提供することにニーズがあるのかなど、仮説を立てましょう。

例えば、民泊サービスのAirbnbでは、Webサイトに掲載されている写真のクオリティが低かったことから、

「写真のクオリティが予約率や売上に影響しているのではないか」
「プロのカメラマンによる写真撮影サービスがあったらよいのではないか」

といった仮説のもとMVP開発を行いました。

ここで立てる仮説は、MVPに搭載する機能や開発する製品・サービスの方向性に直結します。複数のニーズが考えられる場合、どのニーズがユーザーにとって最も優先すべき課題か、優先順位を決めましょう。

ステップ2|目的を決める

次に、MVP開発を行う目的を決めます。目的が明確になっていないと、何をもってゴールとするのかが分からず、検証を繰り返すばかりで次のアクションを起こせないといった事態になりかねません。

Airbnbの例を挙げると、MVP開発の目的は「新しいサービスの需要があることを確認し、よりよい形でサービスを提供すること」でした。

このようにMVP開発の目的を具体化しておくことで、MVP開発の結果をもとに次のアクションを起こしやすくなります。

ステップ3|検証方法を決める

MVP開発の目的まで明確にできたら、具体的な検証方法を決めていきます。MVP開発にはいくつか手法が挙げられ、手法によって難易度やかかるコストが変動するため、自社が開発したい製品・サービスに合わせて最適な手法を選びましょう。

MVP開発の主な手法4つを表にまとめました。

MVP開発の主な手法

もし、いくつかの手法を用いてMVP開発を実施したい場合は、手法ごとにMVPキャンバスを作成しましょう。そうすることで、検証内容が複雑にならず、それぞれの検証結果を精査できます。

ステップ4|検証に必要なデータや条件(KPI)を設定する

検証方法が決まったら、検証が成功したのかを判断するための指標となるデータや条件(=KPI)を設定しましょう。検証前にKPIを設定しておくことで、検証結果が出たあと、次のアクションを起こすまでのスピードを加速させることができます。

例えば、リリース前のサービスで事前の会員登録を募り、○人以上のユーザーが登録したら本開発へ進むというように、具体的なKPIが設定されていると、次のアクションを起こすか方向性を転換するのかを判断しやすくなります。

ただし、MVP開発においては、「○人以上」「○%以上」というように具体的な数値を設定することが困難なケースもあります。そのため、MVP開発におけるKPIは、ある程度直感で設定しても構いません

ステップ5|MVPに搭載する機能を決める

ここでは、MVP開発で最も重要となる搭載機能を決めていきます。MVPに搭載する機能はシンプルかつ必要最小限に抑えることが大切です。

MVPに多くの機能を搭載しようとすると、MVP開発にかかるコストがかさんだり検証内容が複雑になったりしてしまいます。

AirbnbのMVP開発では、「プロのカメラマンによってリスティング写真を撮影する」という機能(サービス)のみが検証されています。このように、MVPに搭載する機能は必要最小限に抑えることが、効果的なMVP開発を行うポイントです。

ステップ6|検証に必要なコストを洗い出す

検証方法や搭載する機能が決まれば、MVP開発に必要なコストを洗い出します。ここでのコストには、試作品の開発や運用に必要な資金面のコストをはじめ、人的コストやMVP開発に必要な工程など、さまざまな要素が含まれます。

事前に必要なコストを洗い出しておくことで、「MVP開発途中にコストが足りなくなり中断せざるを得ない」といった問題を回避することが可能です。

ステップ7|検証する期間を決める

MVP開発とその検証にかかる期間と具体的なスケジュールを決めましょう。リリース日を定め、間に合わせるためにはどの工程をいつまでに完了させればよいのかなど、計画を立てていきます。

具体的なスケジュールが決まっていないと、検証が長引いたりMVP開発が後回しになったりするなど、MVP開発の効果が薄れてしまう可能性があります。

ステップ8|予測できるリスクを洗い出す

MVPを検証する最後の事前準備として、予測できるリスクはすべて洗い出し、それぞれのリスクをどうすれば回避できるのかまで検討しておきましょう。

例えば、試作品を制作する際の技術的なリスク、MVP開発中に他社から似たような製品・サービスが登場する競合リスク、ユーザーニーズが変動し市場が縮小してしまう市場リスクなどが挙げられます。

上記で挙げたようなリスクが実際に起こった場合、どのように対処するのかを事前に検討しておきましょう。

リスクの洗い出しまで終わったら、MVPのリリース・運用に移ります。

ステップ9|検証結果を記録する

MVPのリリース・運用を行ったあと、検証で得られた結果を記録していきます。仮説は正しかったのか、設定したKPIをクリアしているのか、どのような問題が起こりどのように対処したのかなどを完結にまとめましょう。

ここで注意したいのが、記録するのは検証結果という「事実」であることです。検証結果が出た際に、「もっとこうすればよかった」といった反省点や改善点を発見するかもしれません。

ただ、このステップで主観的な意見が含まれると、事前に設定した仮説やKPIとの比較が難しくなる可能性があります。そのため、ここでは事実のみを記録し、主観的な意見は含まないようにしましょう。

ステップ10|検証で得られた学びをまとめる

検証結果の記録を終えたら、「こうすればよかった」「ここが足りなかった」といったMVP開発・検証から得られた学びをまとめていきましょう。失敗した点だけでなく、成功した点も学びとしてまとめます。

また、検証で得られた学びには、実際にMVPを利用したユーザーの感想や意見も含まれます。ユーザーからどのようなフィードバックが得られ、想定していたニーズと合致していたのか、ユーザーが求めている機能が他にあったのではないかなどを分析しましょう。

もし、想定していた効果が得られたとなれば、次のアクションに移ります。Airbnbの例でいうと、「プロのカメラマンによるリスティング写真撮影サービス」を実際のサービスとして提供することが挙げられます。

MVP開発を進める際の3つのコツ

MVP開発を進める際のコツとして以下の3つが挙げられます。

  • ユーザーの理解を深める
  • 搭載機能は最小限に抑える
  • ノーコードツールを活用する

それぞれのコツについて詳しくみていきましょう。

ユーザーの理解を深める

MVP開発では、いかにユーザーの本質的なニーズを掴めるかが重要です。そのため、ユーザーがどのような悩みを抱えているのか、どのような製品・サービスを求めているのかなど、ユーザーの理解を深めましょう。

そもそもこれから提供する製品・サービスは、ユーザーが抱える何らかの悩みや問題を解決するためにあります。例えば、「離れている人と話したい」という悩みを解決したのが携帯電話です。

そのため、ユーザーと直接話す機会を作ったり、アンケート調査や市場調査を実施したりするなど、ユーザーの理解を深めたうえでMVP開発へと進みましょう。

搭載機能は最小限に抑える

MVPに搭載する機能は最小限に抑えることを常に意識しましょう。MVPの開発段階で、「この機能もあったら便利ではないか」「機能が少ないと需要がないのではないか」といった考えや不安が浮かぶこともあるでしょう。

しかし、多くの機能を搭載しても、「実際に運用してみると不要だった」となるケースも少なくありません。なにより、搭載する機能が増えると開発にかかる時間やコストがかさむため、MVP開発のよさがなくなってしまいます。

携帯電話であれば通話機能、フリマアプリであれば出品・購入機能というように、MVPに搭載する機能はシンプルかつ最小限にまとめましょう。

ノーコードツールを活用する

MVP開発のスピードを加速させるコツには、ノーコードツールの活用が挙げられます。

ノーコードツールは、コードを打たずにWebサイトやアプリなどの開発を行える点が特徴です。専門知識を持ったIT人材を確保・育成する必要がなく、既存の人材を活用できるため、すぐにMVP開発にとりかかることができます。

また、ノーコードツールを活用すれば、スクラッチ開発やパッケージ開発に比べるとかかるコストが少ないため、MVP開発・検証にかかるコストを最小限に抑えることが可能です。

短期間かつ低コストでのMVP開発を実現したい場合は、ノーコードツールの活用を検討してみてください。

まとめ

MVP開発を進める際は、「MVPキャンバス」というフレームワークの活用がおすすめです。MVPキャンバスを構成する10項目を順に検討していくだけで、効果的なMVP開発を実施できます。

また、MVP開発をスピーディーに進めたい場合は、ノーコードツールを活用しましょう。専門知識不要で開発できるため、IT人材を確保・育成する必要がありません。

MVP開発を実施する際は、MVPキャンバスとノーコードツールをうまく活用して、効率的に検証していきましょう。

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